2018年7月18日(水)

「真の難民」保護に一層の改革を

2018/1/17 22:51
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 法務省は難民申請者の処遇を見直し、15日から新しい枠組みの運用をはじめた。難民と認められるかどうかを審査している間に日本で働くのを、従来より厳しく制限するのが見直しの柱だ。

 日本での就労をめざす、いわゆる「偽装難民」が急増し「真の難民」を保護するのに支障が出てきたため、と同省は説明している。たしかに「偽装」を抑制する効果は期待できるが、本当の意味で「真の難民」を保護するには一層の改革が必要だろう。

 法務省は2010年、難民認定の申請者が申請の半年後から原則として日本で仕事ができるようにした。審査を待つ間の経済的な困窮をやわらげる狙いだったが、一部の途上国で「日本では難民申請すれば職に就ける」との受け止め方が広がったという。

 実際、同年から17年までに申請者の数は10倍以上に膨らんだ。結果として申請者ひとりひとりにかかる審査は長期化し、本当に保護が必要な「真の難民」の認定も遅れがちになってきた。

 今回の見直しでは、短期間の審査で「明らかに難民に該当しない申請者」をまず振り分け、原則として就労を認めないことにした。「偽装」の申請を抑えるうえでやむを得ない対応だろう。

 心配なのは「真の難民」をしっかり保護できるかどうかだ。政府が17年1~9月に難民と認めた数は10人で、先進国のなかでは際だって少ない。厳しい認定基準を維持したままであれば、本当に保護が必要な難民をさらに苦しめる結果となりかねない。

 「偽装難民」のなかに技能実習生や留学生が少なくないことにも注意したい。単純労働者は受け入れないという建前の、いわば抜け道となってきた仕組みが「偽装難民」を誘い込んでいる。

 人手不足が深刻になるなか、外国人をどう受け入れていくのか――。これが問われているともいえる。法務省だけでは済まない問題で、政府さらには国民全体で真剣に考えなくてはならない。

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