2018年10月22日(月)

賃上げでデフレ脱却への決意を示せ

2018/1/17 1:14
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経団連が2018年の春季労使交渉に臨む経営側の指針をまとめた。デフレ脱却を前進させるため、例年になく強く賃上げを呼びかけている。働き方改革で残業代が減る分の補い方などにも企業は目を配り、賃金上昇の流れを確かなものにしてもらいたい。

交渉指針となる経営労働政策特別委員会(経労委)報告は政府の要請を踏まえ、「3%の賃上げ」は社会的な期待であり前向きな検討が望まれると明記した。基本給を引き上げるベースアップや賞与の増額などを想定している。3%は日本経済がデフレに入る前の1994年以来の伸びとなる。

民間の賃金決定への政府介入は市場経済のメカニズムをゆがめかねず、本来なら望ましくない。ただ、企業が抱えるお金が増え続けているのも事実である。上場企業の手元資金は100兆円を上回っている。

18年3月期に上場企業は2年連続で過去最高益となる見通しで、企業が積極的な賃上げを検討できる環境にあるといえる。経済の好循環の鍵を握る消費拡大には将来不安を除く社会保障改革と併せ、継続的な所得の伸びが求められる。収益力が高まった企業は例年以上の賃上げを考えてはどうか。

もちろん賃金は生産性の伸びに応じて決める必要がある。女性や高齢者が働きやすい短時間勤務制度などの生産性向上策についても労使で議論を深めるべきだ。

今春の労使交渉では残業削減による減収をどのように補うかも大事なテーマになる。大和総研の試算では残業時間が月平均60時間を上限に抑えられた場合、残業代は最大で年間8.5兆円減る。

労働組合側は「残業時間の減少は生産性が上がった表れといえ、その分、賃金を上げるのが筋だ」と主張する。生産性の向上がみられるなら、従業員への還元を考えてしかるべきだろう。

経団連は経労委報告で、賞与の増額や手当の新設などの還元方法を挙げた。減収は従業員の働く意欲をそぎかねず、企業にもマイナスだ。適切な対応が求められる。

雇用されている人の7割が働く中小企業の賃上げも重要になる。大企業による著しく低い代金での発注などが中小企業の収益を圧迫している例は少なくない。

下請法違反の取り締まり強化が求められるのはもちろんだが、大企業自身、中小企業に不当な取引を強いていないか点検すべきだ。

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