2018年5月21日(月)

転機迎えた住宅市場の構造改革を促せ

2018/1/15 23:09
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 住宅建設が減っている。住宅着工戸数をみると昨年7月以降、5カ月連続で前年同月を下回った。相続税対策に伴う賃貸住宅の建設ラッシュが落ち着いたことが主因だが、持ち家も減っている。

 住宅建設の減少は足元の景気にはマイナスだが、全国で空き家の増加が問題になっている点を考えれば自然な流れだろう。住宅市場は大きな転換期を迎えたといえるのではないか。

 今後大切なことは、大きくいえば2つある。まず、空き家の増加を抑えるためにも中古住宅の取引をもっと増やすことだ。それには税制など政策面からリフォーム投資を促し、住宅の質を維持・向上させる必要がある。

 住宅投資に占めるリフォーム投資の割合をみると、日本は3割弱と欧州に比べてかなり低い。リフォーム投資が増えれば新築投資の減少を補う効果も期待できる。

 第三者である建築士などが建物の状況を調べるインスペクション(住宅診断)も普及させたい。米国などでは住宅診断は一般的だが、日本ではまだ少ない。

 宅地建物取引業法の改正で、4月から取引を仲介する業者が顧客に住宅診断をするかどうかを確認することが義務付けられる。住宅の状況を事前に把握できれば、消費者は安心して適正な価格で購入しやすくなるだろう。

 住宅金融のあり方も問われる。中古住宅の購入費とリフォーム費用を一体で提供する住宅ローン商品を充実する必要がある。そのためにも、土地とは分けて建物の価値を評価する手法を広げたい。

 2番目は都市計画と連動させて、住宅の立地を既存の住宅地にしっかりと誘導することだ。日本では多くの住宅がもともとは住宅地ではなかった工場跡地や農地などに新たに建設されている。

 その一方で、既存の住宅地では建て替えが進まないので空き家がますます増えている。住宅着工戸数全体に対する古い物件を壊して建てた住宅の割合を示す「再建築率」をみると、2015年度は8.4%と過去最低になった。

 居住者がいる住宅だけをみても、耐震性に欠ける物件が全国に約900万戸もある。こうした物件の除去と一体となった住宅建設を後押しすべきだ。

 日本では人口に続いて23年をピークに世帯数も減少に転じる見通しだ。転機を迎えた住宅市場の構造改革をしっかりと進めたい。

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