2018年7月16日(月)

春秋

2018/1/14 1:05
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 1兆8000億円から3000億円へ。この30年あまりの間に、日本の呉服市場は6分の1に縮んだという。経済産業省は原因を研究し、今後発展していくためには何が必要になるか、報告書を昨年まとめた。その内容からは業界が抱える課題の根深さが浮かび上がる。

▼まず生活の洋風化などから着る人が減った。そのために一部で強引な販売方法が増えたという。海外で安く作ったものに高い値段をつけたり、見せかけの価格から「大幅値引き」をうたったり。景品などで客を呼び込み、長時間拘束して強引に売りつける例もあると記す。もはや歴史と伝統を担う仕事という誇りとは遠い。

▼こうした体験がネットで広まったことも着物離れを生んだと経産省は分析する。もちろん大半の呉服店は着物を愛し、誠実に客と向き合っているだろう。不届きな一業者のため成人式に振り袖を着られなくなった女性らに救いの手がさしのべられたのはその一例だ。しかし一度離れた客の心を取り戻すことは容易ではない。

▼報告書によれば、和風文化への関心の高まりもあり、若い女性の間で和装を楽しみたいという意向は強いという。年間2800万人を超えた外国人観光客にも「日本のキモノ」への興味は広がる。追い風を生かし、着物を一生に数回しか着ない特別な存在から、安心して買え、日常に溶け込んだ生活文化に戻せるだろうか。

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