2018年4月23日(月)

春秋

2018/1/13 1:12
保存
共有
印刷
その他

 「あっ、私のトウシューズに画びょうが!」。そんな昭和期のマンガのような出来事が本当にあるのかと、最初は耳を疑った。カヌーのトップ選手がライバルを蹴落とすため、飲み物に禁止薬物を混入した問題である。失望や困惑の声はスポーツ界全体に広がっている。

▼再来年に東京五輪を控えているのだから、ことは深刻だ。悪いのはもちろん愚行に手を染めた選手である。だが一方で、海外で競技した経験の長いスポーツ選手の話などを聞くと、別の意味で驚く。こちらが隙を見せれば薬を盛られる危険があって当たり前。我が身をどう徹底して守り切るかを含めての戦いなのだという。

▼自分で飲んだか飲まされたかでなく、陽性反応が出ればアウト。だから栓の開いていないものしか口にしない。それが海外の常識だとも聞く。ドーピングがいかに大きな問題であるかを改めて実感する。今回、あれこれと驚かされるのも、これまで日本国内ではドーピング事件が少なかったことの裏返しなのかもしれない。

▼平成に入って犯罪が急増したころ、海外の研究者がびっくりしていた。「道ばたにコインがたくさん入った自動販売機が並んでいるし、家のカギがちょっとした道具で簡単に開く!」。スポーツ界も国際標準の対策で守りを固めるしかないのだろう。性善説を捨てるのは、幸せな時代が終わった証拠のようで寂しいけれど。

春割実施中!日経電子版が5月末まで無料!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ

関連キーワード



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報