2018年10月21日(日)

商工中金の完全民営化は前倒しせよ

2018/1/11 23:07
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2016年秋に発覚した一連の不正融資問題を踏まえ、中小企業向け政府系金融機関、商工組合中央金庫の抜本改革を検討してきた有識者会議が提言をまとめた。完全民営化する方向で22年までに最終的な結論を出すとし、そのうえで必要な法改正を手当てするスケジュール案を示した。

しかし4年の猶予期間は長すぎる。商工中金の現状維持を目指す勢力の横やりなど改革の先送りにつながるリスクを抱え込む。政府は22年を待たずに速やかに準備作業に着手し、法改正の前倒しなど完全民営化の早期実現を目指すべきだ。

そもそも商工中金は小泉純一郎政権下の政府系金融改革の一環で、遅くとも15年度までに完全民営化することが決まっていた。しかし08年のリーマン危機など中小企業の資金繰りが悪化する金融有事のたびに、先送りされてきた。

現在の金融環境は落ち着いており、むしろ銀行過剰(オーバーバンキング)が鮮明だ。政府系金融による民業圧迫のひずみを、早く解消することが欠かせない。

商工中金が悪用していた政府の「危機対応融資制度」は、税金を原資に金利を割り引いて貸し出す仕組みだ。深刻な金融危機や大規模自然災害で一時的に資金繰りが悪化した企業が対象だ。

ところが商工中金は取引先の財務諸表を改ざん、自作して業績を悪くみせかけた。低利を武器に本来は対象外の優良先にも幅広く融資し、地方銀行などから取引を奪う例が続出した。全国100店舗のうち97で不正が発覚しており、組織ぐるみで存在感を高めて完全民営化を逃れようとしていた。

金融危機などの際に中小企業への資金繰り支援が必要な局面はある。だが民間金融機関を危機対応の窓口にしたり、信用保証制度を拡充したりすれば代替できる。今後、商工中金が危機対応融資を大幅に縮小するのは当然だ。

そのうえで商工中金は、担保や個人保証に頼らず事業の将来性に着目した融資や助言業務の拡充といった、新たなビジネスモデルの構築を急ぐ必要がある。独り立ちが不可能となれば、最終的に解体・廃止に結びつく。役職員はそうした厳しい覚悟で臨むべきだ。

今回の問題を奇貨として、民間金融機関と民営・商工中金が健全な競争を通じて、中小企業の生産性の向上や停滞する地域経済の下支えに貢献してほしい。

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