2018年7月21日(土)

北朝鮮への疑念拭えぬ南北対話の再開

2018/1/10 23:33
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 韓国と北朝鮮が閣僚級会談を開き、2月に開幕する平昌冬季五輪への北朝鮮の参加や軍事当局者会談の開催で合意するなど、緊張緩和に向けた成果がみられた。ただし、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に寄与するかどうかは不透明で、手放しでは歓迎できない。

 約2年ぶりとなる南北協議が実現したのは、北朝鮮の金正恩委員長が年始の「新年の辞」で平昌五輪への選手団派遣と南北対話に意欲を示したのがきっかけだ。

 韓国の文在寅政権はもともと北朝鮮に融和的で、かねて五輪参加や直接対話を促してきただけに即座に呼応した。米国のトランプ政権も米韓合同軍事演習を五輪後に延期することに同意し、南北会談を後押しした。

 平和の祭典とされる五輪を安全で友好的に実施する環境整備はもちろん欠かせない。朝鮮半島の緊張緩和という観点からみても、南北が五輪参加問題に限らず、軍事面も含めた対話再開で合意した意義はそれなりに大きい。

 気がかりなのは、北朝鮮が南北対話の再開に応じた意図だ。金委員長は新年の辞で核武装を継続する意思を表明し、米国をいつでも核攻撃できると誇示した。北朝鮮は今回の南北閣僚級会談でも、非核化に向けた対話の要求には強い不満を示したという。

 国際社会が経済制裁を強め、米国が軍事的な圧力を高めるなか、北朝鮮が韓国を利用して包囲網に風穴をあけ、核開発を続ける時間と資金を確保しようとしているとの疑念はやはり拭えない。

 南北協議を受け、韓国の文大統領はさっそく南北首脳会談に応じる用意もあると表明した。文政権にはくれぐれも、北朝鮮に「最大限の圧力」をかける日米との連携を軽視し、南北融和に安易に突き進むことがないよう求めたい。

 韓国政府は折から、慰安婦問題を巡る日韓合意への新方針を発表した。公式合意だった事実を認め、再交渉は求めないとする一方で、被害者の心の傷を癒やす努力の継続を日本側に求めた。日本政府が拠出した10億円は同額を韓国政府が負担するという。

 日韓合意の精神を実質的に骨抜きにする内容で、極めて遺憾だ。

 日韓の相互不信が深まれば、北朝鮮の核問題を巡る日米韓の連携にも水を差しかねない。それこそ北朝鮮の思うつぼだ。韓国の文政権には慎重で一貫性のある外交を進めてもらいたい。

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