2018年7月18日(水)

「中西経団連」は政治との距離を適切に

2018/1/9 23:14
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 経団連の次期会長に日立製作所の中西宏明会長の就任が内定した。リーマン・ショック後、「沈みゆく巨艦」ともいわれた日立を再生させた手腕への評価は高い。現状に安住しがちな大企業の改革でみせたリーダーシップを経済界トップとしても発揮してほしい。

 あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や人工知能(AI)の活用が企業の成長の鍵を握るようになり、IT(情報技術)分野に詳しい中西氏の起用は時代の動きを映したものといえる。

 日立は2009年3月期に7873億円の最終赤字を計上し、10年に社長に就任した中西氏は海外インフラ分野に注力するなど事業の選択と集中を進めた。それまでの経営陣が避けてきた、「御三家」と呼ばれ独立性の高い上場子会社の再編にも踏み切り、日立金属と日立電線を合併させた。

 経団連会長として中西氏に期待されるのは、そうした自律的な成長をめざす気風を経済界に広めることだ。

 上場企業は18年3月期に最高益を更新する見通しだが、資本効率を意識した投資家重視の経営が浸透しているとはいえない。手元資金は上場企業だけで100兆円を超えるまでに積み上がっており、成長投資は不十分だ。中西経団連は企業統治を含めた経営改革の旗振り役になってもらいたい。

 政治とは適切な距離を保つ必要がある。12年に第2次安倍内閣が発足して以降、政権による賃上げ要請など、企業経営への政府の関与は強まる傾向にある。

 デフレ脱却に向けて消費拡大を促す賃上げはもちろん重要だが、企業が生産性に見合わない賃上げをすれば競争力を落とし、翌年以降の賃金が伸び悩みかねない。企業の自主判断によるべき経営資源の配分への政府介入は、民間の活力をそぐ恐れがある。

 政府が子育て支援で経済界に3000億円の追加負担を要請した際は、経団連が応じた一方で、日本商工会議所は当初、議論の過程が不透明だとして受け入れなかった経緯がある。政府の意向をうかがう姿勢があるとしたら、求心力は高まるまい。毅然ともの申せる経団連でなければならない。

 リニア中央新幹線の工事を巡る入札談合や品質データの改ざんなど、不正が後を絶たない。企業倫理を置き去りにしては政策提言や制度改革の要求も説得力がない。規律の浸透も中西氏の課題だ。

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