2018年4月26日(木)

いつの間にか「仕事熱心」をやめた日本人

2018/1/5 23:21
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 「日本人は仕事熱心」という常識はもはや過去のものかもしれない。米調査会社のギャラップが昨年公表した、仕事への熱意(エンゲージメント)についての国際比較によると、日本で「仕事に熱意を持って積極的に取り組んでいる」従業員の比率は全体の6%。調査した139カ国のなかで132位と、最下位級にとどまった。

 ほかの調査でもほぼ同様の結果が出ている。与えられた仕事を指示通りにこなす受け身の勤勉性はそれなりに高いものの、自ら主体的に仕事に取り組む姿勢に欠ける現状は非常に心配だ。

 働き手の熱意の低い職場から目の覚めるようなイノベーションが生まれないのは自明だろう。企業業績と社員の熱心さの間には強い相関関係があることも知られている。日本企業の収益力が低い一因は社員の熱意不足ではないか。

 仕事の「やらされ感」が強まれば、不祥事や労働災害も起こりやすくなる。政府が旗を振る生産性革命も、個々人が旧態依然の仕事ぶりを改め、新たな働きかたに挑戦しようとしなければ、絵に描いたモチに終わる。各人の熱意を引き出し職場を活性化することは、各企業にとっても日本全体にとっても待ったなしの課題である。

 かつて旺盛だった「仕事熱心さ」が後退した理由のひとつは、人員の年齢構成のいびつさだろう。若い人が新しいアイデアを出しても、職場で多数派を占めることの多い中高年層が抵抗し、はね返される。そんなことが繰り返されれば、あきらめムードが広がり誰も何も言わなくなる。

 昨年、経済産業省があえて若手官僚ばかりのチームをつくり大胆な提言を発表して話題を呼んだ。企業もトップの肝煎りで、若手を思い切って登用するといった、年功序列の延長線上にはない試みを積極的に仕掛けるべきだ。

 外部人材の導入も組織の刺激剤になる。パナソニックは外資系IT企業の元幹部を要職にスカウトし、官僚的な社内風土に風穴を開けようとしている。

 派手な取り組みだけでなく、地道なことの積み上げも大切だ。直属の上司とのコミュニケーションの多い職場ほど、若手の熱意が高いという結果も出ている。

 どんな人間を管理職に起用すれば職場が活気づくのか。経営者や事業責任者は十分な目配りをしてほしい。それこそが企業の盛衰を決めるカギかもしれない。

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