2018年4月22日(日)

順風の年こそ難題を片付けよう

2017/12/31 22:04
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 新年を迎え、目標に向けて決意を新たにした方も多いだろう。2018年をどんな年にしたら良いのか。政府と企業の課題を考えてみよう。

 「世界経済は2010年以来なかったような、予想を大きく上回る拡大を続けている」。米ゴールドマン・サックスは18年の世界経済の実質成長率が17年の3.7%から4.0%に高まるとみている。地政学リスクなどあるが、久しぶりの順風である。

財政・社会保障の姿を

 08年のリーマン・ショック以後、世界経済は停滞が続いた。米欧や中国で潜在成長率が下がり、貿易の伸びが低下する「スロー・トレード」も目立った。それが16年後半あたりからはっきりした回復をみせている。

 先進国の大規模な金融緩和によって、株や不動産などの資産価格が上昇し、企業収益が拡大、投資につながる循環が動き出した。

 日本の景気も7~9月まで7四半期連続のプラス成長を記録し、17年度は2%近い成長率を見込む声が多い。少子高齢化による人手不足が省力化投資を促している。上場企業は18年3月期に最高益を更新する見通しだ。

 国内政治も波風の少ない年である。衆院選は終えたばかりで、参院選も19年夏までない。秋に自民党総裁選があるが、党内に安倍晋三首相の座を脅かす有力な対抗馬はいない。総裁3選ならば20年の東京五輪・パラリンピックをまたぐ超長期政権が現実味を帯びる。

 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は「日が照る間に屋根の修理をしよう」と呼びかけている。J・F・ケネディの言葉を引用したもので、経済が順調な間に手間のかかる改革をやり遂げることの大事さを指摘する発言だ。「何かが政治的に難しいからといって避けて通れるわけではない」

 18年は日本の「明治150年」にあたる。150年は前半が明治維新から太平洋戦争、後半が戦後復興からバブルを経て今に至るまで、と画然としている。来年に改元を迎えるこの時に、政府が最優先でやるべきことは何か。

 超高齢化社会を乗り切る社会保障と財政の見取り図をきちんと描くことにつきる。近代国家の建設や経済復興にも匹敵する難題だが、夏に政府が決める骨太方針で正面から取り組んでほしい。

 団塊の世代が全員、後期高齢者になる25年以降、社会保障支出の膨張を抑えるのはどんどん難しくなる。今後20~30年は生産年齢人口は減るのに後期高齢者は増え続ける時代だ。健康寿命が延びているのに、従来の年齢区分で高齢者への社会保障給付を優遇する仕組みは時代遅れである。

 65歳以上の労働力率も高まっている。就労機会をさらに確保して、年金の支給開始を段階的に70歳まで延ばすにはどうしたらいいか、総合対策を検討したらどうか。

 19年には消費税率の10%への引き上げを控えているが、問題はその先だ。消費増税がデフレの再来や円高進行をもたらさないか注意しながら、「緩やかで継続的な税率上げ」を進める知恵がいる。

 あわせて、財政との一体化が進む金融政策でも用心深い対応が必要だ。米欧が踏み出した異次元緩和の出口について、日銀の黒田東彦総裁はデフレ心理の払拭を最優先する姿勢を示している。

雇用改革も待ったなし

 春の任期切れで黒田氏が続投しても新総裁が生まれても、課題は同じだ。経済がどうなったら、どの順番で金融政策を見直すのか。事前に市場に対してメッセージを送ることを忘れてはならない。

 日本経済の活力は、政府の仕事だけで高まるものではない。企業にも大いに努力を求めたい。

 積み上がった手元資金を新技術を生む投資に振り向け、従業員にも手厚く分配すべきである。

 日本企業による画期的な製品やサービスが久しく出ていない。デジタル化の時代はアナログ時代と異なり、失敗を恐れず、会社の内外の人材を取り込み、迅速に動くことが欠かせない。

 過去の日本経済の低迷を振り返ると、たこつぼともいえる年次・年功主義の限界が浮かび上がる。

 高度成長期型の新卒一括採用をいつまで続けるのか。流動性の高い労働市場をつくれるかどうか。待機児童対策などと一体で進める女性就労の促進と合わせ、人事・労務改革も待ったなしだ。

 19年は天皇陛下の退位と改元、統一地方選挙と参院選、20カ国・地域(G20)首脳会議の議長国など行事が目白押しである。その前に片付けられるかどうか。10年後の日本はそれで決まる。

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