2018年4月24日(火)

大学新入試は改革の基本構想が大事だ

2017/12/29 23:24
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 大学入試センター試験に代わって2020年度に実施する「大学入学共通テスト」の試行調査(プレテスト)があり、問題と採点結果の速報値が公表された。

 国語、数学に記述式を初めて導入し、マーク式でも選択肢に正解がない新たな設問や、複数のグラフや図表、文章を参照して結論を導くなど思考力・判断力・表現力を重視する問題が採用された。

 例えば現代社会では、民法の成年年齢の引き下げの長所、短所を世論調査などの資料を比較して考えさせた。複合的な読解力が試される良問といえよう。

 本社が実施した主要大学の学長アンケートでは、約7割が入試改革を評価すると回答。「高校教育の改善につながる」などの理由が目立った。初等中等教育の出口である大学入試の改革で、高校以下の授業を「考える力」を育む内容に変える効果が期待されている。

 3年後の本番に向けた事務的な課題は、記述式答案の採点の公平性の担保や、実用英語技能検定(英検)など民間に委ねる英語試験の実施主体の選定などだ。

 だが、本質的な問題は新テストにどんな機能を持たせるかだ。

 試験制度は、到達度を測る資格試験と、相対的な順位で合格者を選抜する競争試験に大別される。論述や口述試験を課して思考力・判断力を重視するフランスやドイツの大学入試は、一定水準に達した学生を合格させる資格試験だ。

 米国の共通試験は年に複数回受験可能だ。資格試験として扱う大学もあるが、高得点を条件にする難関校もある。各大学の裁量で機能を選択できる多様性を持つ。

 現行センター試験は、1点刻みで50万人規模の受験生を選別する競争試験だ。そのため得点分布が偏らぬよう平均正答率が約6割になるよう難易度を調整する。新テストもこの方法を踏襲するのか。

 一般に、知識重視は競争試験、思考力・表現力重視は資格試験と親和性が高いとされる。文部科学省は今後、地理歴史・公民や理科にも記述式を広げ、全教科で思考力を問う方針という。

 家庭の経済事情などによる学力の二極化が進むなか、平均正答率を設定した相対評価で思考力を問い、育む改革は可能だろうか。

 新テストをどのような理念で運用するのか。高等教育の無償化議論や、少子化による大学の定員割れの現実も見据えた改革の基本構想が問われている。

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