2018年4月23日(月)

地銀再編は万能薬ではない

2017/12/27 23:36
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 新潟県首位の第四銀行と2位の北越銀行の経営統合を公正取引委員会が認め、新銀行が当初予定から半年遅れの2018年10月に発足する見通しになった。地域経済の停滞に加え、日銀のマイナス金利政策を背景に地方銀行の収益悪化は著しい。再編を通じた生き残り策は経営の有力な選択肢だが、苦境打開の万能薬ではないことも地銀経営者は強く認識すべきだ。

 両行が今春合意した統合・合併方針の可否を公取委は慎重に審査してきた。激しくしのぎを削ってきたはずの県内最大手と2番手が手を結ぶ計画だからだ。5割を超す圧倒的な融資シェアは、寡占を通じて県内金融の健全な競争環境に悪影響を及ぼす恐れがある。

 実際にその1年前に公表された長崎県トップの十八銀行と2位の親和銀行(ふくおかフィナンシャルグループ傘下)の統合計画に対して公取委は厳しい姿勢で臨み、統合を無期延期に追い込んだ。

 公取委は今回、新潟県内の中小企業への広範な聞き取り調査を実施。仮に新銀行が貸出金利の引き上げなど不利な条件変更を求めてきた際、他の金融機関に借り換え可能かを見極めた。新潟には有力な信用金庫が存在しメガバンクなど五大銀行すべてが拠点を置く。

 こうした競争状況が整わない長崎とは異なる判断を公取委が下したのは妥当だろう。県内統合を頭から否定するわけではない、新たな「判例」が示されたことで地銀再編が再加速する可能性もある。

 だが地銀が規模拡大を通じた生き残りを優先するだけでは、地元経済の活性化という使命を果たせまい。なかでも業績が悪化し始めた「要注意先」と呼ばれる融資先企業へのきめ細かな再生支援がカギを握る。担保の確保にとらわれない柔軟な融資対応を求めたい。

 それにしても地銀の収益環境は厳しい。マイナス金利を導入した当の日銀さえ、脆弱な地域金融に潜むリスクを懸念し始めた。金融庁としては、適切な再編相手も見つからず、展望が開けない地銀の経営にも目配りが必要な段階だ。

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