2019年3月22日(金)

リーダー、ビジョン示せ
SmartTimes (スティーブン・ブライスタイン氏)

2017/12/29 6:30
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リーダーにとって、自分のビジョンを明快に説明し、ビジネスにおける優先順位をもとに理想的な戦略方向を選択することは、重要な役割である。

米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。

米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。

「チームのメンバーには当事者意識を持たせたいので、私のビジョンを説明したり、強制したりするようなことはしたくない」。このような考えを持っているビジネスリーダーがいる。彼らは独裁者のような上司だと思われたくないのだ。

だが、そのような心配をする必要はない。自分が求めていることを説明し、それを達成するための助けをチームのメンバーに求めればよいのだから。

戦略を企画・立案するときには、まず出発点を明確にしなければならない。絶対に譲歩できないものは何か、変えていきたいものは何かをはっきりさせるのである。ここで大切なのは、その目的が有効であるかどうかではなく、目的を達成するために変更すべきことについて話し合うという意向を明らかにすることだ。

私のクライアントのある最高経営責任者(CEO)は、戦略に沿わない商品ラインの取り扱い中止を譲れない事項とした。そのアイデアに反対するマネジャーもいたが、CEOはその決定を翻さなかった。そしてその実行方法についての助けをマネジャーたちに求めた。つまり、その時点で商品ラインの取り扱い中止は決定していたのだ。

別のCEOは、顧客からの注文を待つのではなく、積極的に提案する営業手法に変えようとした。それを可能にするため、営業やマーケティングなどのプロセスを変更するための助けをメンバーに求めた。

ビジョンを決めたり、戦略の目的を定義したりするときに、チームのメンバーが関与してもかまわない。しかし、ビジョンを最終的に決めるのはリーダーの役割であり、特権でもある。そのことを忘れてはならない。

自社を巡る環境を鑑みれば、特にビジョンを説明をしなくても、チームのメンバーも自分と同じ結論に行き着くはずだ――。このように期待するのは非現実的だ。自分にとって譲れない部分が存在しているにもかかわらず、単にチームのメンバーに当事者意識を持たせるためだけに、ビジョンの作成を依頼しているふりをするのは不誠実だ。

そのようなことをすると後で痛い目を見るものである。ビジョンや戦略の作成を依頼された時点で、すでにリーダーによる決定済みの事項があったことが後でわかれば、チームのメンバーは自分たちの時間と努力が無駄にされ、見下されたと感じるかもしれない。

リーダーは常に正直でなければならない。絶対に譲れないことを明示し、その理由も説明して彼らに理解してもらうのである。そこで初めて彼らの助けを求める。そのようなリーダーほど、部下をやる気にさせるのだ。

[日経産業新聞2017年12月27日付]

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