2018年1月20日(土)

新たな危機にも目配りする防衛体制に

社説
2017/12/24付
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 防衛費が急ピッチで増加している。東アジアの安保環境の悪化を考慮すれば防衛力の増強は不可欠だが、本当に効率的に使われているのかどうかはよく見極める必要がある。いまの自衛隊のまま、ただ装備を増やせばよいのか。抜本的な組織改編も視野に防衛のあり方を考えるときだ。

 2018年度予算案の防衛費は5兆1911億円となった(米軍再編経費を含む)。17年度予算比1.3%増で、6年連続の増額である。5兆円に達したのが16年度だから、近年の伸びは著しい。17年度補正予算案にも2345億円が盛り込まれた。

 しかも、今回導入が決まった(1)陸上配備型のミサイル迎撃システム「イージス・アショア」(2)戦闘機から発射し、地上の敵や艦船を攻撃する巡航ミサイル「JSM」――などは、いずれも初期費用しか計上されていない。

 イージス・アショアは1基800億円と見込んできたが、1000億円を超えるとの報道もある。米トランプ政権の言うがままに、高値づかみすることのないようにしてもらいたい。

 JSMは8月の概算要求には含まれていなかった。使い方によっては敵領土に撃ち込めるとの見方がある。歴代内閣は敵基地攻撃を「法理的には自衛の範囲」としてきたが、野党の一部は違憲と反発している。もう少し丁寧に論議してから導入を決めてもよかったのではないか。

 大きな買い物の一方で手薄な感じのするのが、新たな危機への対応である。

 サイバー攻撃に備える防衛隊の要員を110人から150人に増やすが、米国防総省のサイバー要員は数千人ともいわれる。高層大気圏で核爆発を起こして相手国のインフラを破壊する電磁パルス(EMP)攻撃などへの備えは、研究段階にとどまった。

 共通するのは、陸海空いずれの自衛隊にとっても主業務でない課題への感度が鈍いことだ。

 いまの中期防衛力整備計画は18年度で満了するため、年明けから新計画づくりが始まる。敵が上陸してきたら戦車部隊で迎え撃つ。そんな古典的な戦争はもはや想定しがたい。

 どうすれば国を守れるか。陸海空の区分けにこだわる必要はないし、防衛省と海上保安庁の連携強化も欠かせない。新たな危機に即した防衛体制が求められる。

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