2018年4月20日(金)

春秋

2017/12/23 1:31
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 「飛び出し坊や」をご存じか。住宅街の四つ角などに置かれている男の子をかたどったパネルである。まさに路上へ走りだそうかというポーズで、道行くドライバーに注意を促す。近畿地方に特に多いとされ、数年前、本紙夕刊(関西版)にその来歴が紹介されていた。

▼丸刈りで赤いシャツ、黄色いズボンのオリジナルは滋賀県東近江市の看板店が最初に製作した。1973年のことという。地元の社会福祉協議会が「子どもの事故防止に役立ち、安価でできるものを」と発注したらしい。当時は「交通戦争」のまっただ中。69年から72年まで事故死者は4年連続で1万5千人を超えていた。

▼発祥の地で坊やは、てんびん棒を担いだ近江商人風や甲賀の忍者バージョンにも進化している。形や絵柄は違えど同種の警告パネルは全国に広がり、長い年月、じわり効果を発揮してきたのだろう。今年の死者数は統計が明確な48年以降で最も少ない三千数百人台にとどまりそうという。戦後すぐの混乱期も下回るわけだ。

▼取り締まりや車の技術の発展が寄与した面はむろん大きかろうが、坊やの設置やメンテナンスといった草の根活動も評価したい。本紙記事は坊やに関して「冬には帽子をかぶせてもらっていた」などのエピソードも載せている。安全を願う住民の心遣いも事故を減らした一因に違いない。坊や、寒さは続くけど、がんばれ。

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