2018年4月26日(木)

新幹線の安全を守るために

2017/12/22 23:57
保存
共有
印刷
その他

 日本の大動脈である新幹線で「あわや重大事故か」という深刻なトラブルが起きた。11日午後の博多発東京行きの「のぞみ」の走行中に異音などが発生し、車輪と車体を結ぶ台車に大きな亀裂が入っていたことが明らかになった。

 そのまま走行を続けていれば、脱線などの大きな事故につながった恐れもある。国の運輸安全委員会も「重大インシデント」に指定し、調査を始めた。

 千人にも及ぶ命を乗せて高速で走る新幹線に万一の事態があってはならない。JR西日本をはじめとする関係者には徹底した原因究明と再発防止策を求めたい。

 今回の件で最大の問題は異常が起きてから運行中止に至るまでに3時間もかかったことだ。岡山駅で問題ののぞみに乗り込んだJR西の車両担当者からは「電車を止めて点検すべきだ」という声も出たという。だが、東京の指令所とのやりとりを経て最後は「走行に支障なし」と判断され、新大阪駅でJR東海に運行を引き継いだ。

 運行停止が決まったのは、名古屋駅でJR東海が実施した床下点検で亀裂が発見されたからだ。同社の柘植康英社長は「本来ならJR西が新大阪で点検しておくべきだった」と表明した。

 定時運行の圧力に負けて、安全確認がおろそかになるようでは、鉄道会社の資格はない。ましてJR西は12年前に福知山線脱線事故を起こした会社である。運行停止を決断できなかったのはなぜか、詳細な検証と対策が必要だ。

 これほど大きな亀裂が過去の定期点検でなぜ発見されなかったのかも疑問だ。亀裂は通常長い時間をかけてゆっくりと大きくなる。今回の亀裂が定期点検で見逃されていたのなら、点検のあり方を見直す必要も出てこよう。

 亀裂の発生原因の究明も欠かせない。最もありがちな原因は溶接不良だが、台車の設計ミスによる強度不足や材料(鋼材)の品質不良の可能性もある。その場合は他の台車でも同じ事態が起こる恐れがあり、対策が急務だ。

春割実施中!日経電子版が5月末まで無料!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報