2018年7月21日(土)

財政規律の緩みが心配な来年度予算

2017/12/22 23:57
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 政府は2018年度予算案を決定した。一般会計の歳出総額は社会保障費用の増加などを反映して97.7兆円と6年連続で過去最大を更新した。景気回復で税収は持ち直しているものの、財政再建への道は険しい。税収増加や国債金利の低下を背景に、財政規律がさらに緩むことが心配だ。

 企業業績の改善などを反映して税収は、59.1兆円と1991年度以来27年ぶりの高水準を回復した。といっても財政は当時より健全になったわけではない。91年度の歳出は70.5兆円で、今はその1.4倍近くに膨らんでいる。その多くが社会保障費と国債費だ。

 当初予算での新規国債発行額は8年連続で減った。来年度予算では国債発行額は33.7兆円と今年度の当初予算の34.4兆円に比べて減少する。

 ただ、来年度予算案と同時に決めた今年度の補正予算案では、公共事業費の積み増しなどで建設国債を1.2兆円増発した。当初予算で国債発行額を抑え込んでも、補正予算で再び増発するならば、財政健全化は進まない。

 来年度予算では社会保障費の伸びを5000億円に抑える目標を達成し、16~18年度の3年間で伸びを1兆5000億円に抑えるという「経済・財政再生計画」にそった抑制は実現した。しかし、今後の社会保障費の増大を考えると、一段の歳出抑制が必要だ。

 国債の利払いなどに充てる国債費は来年度に今年度とほぼ同水準の23兆円を見込んでいる。年1.1%の国債金利を前提にしているが、実際は日銀の国債購入で金利が低く抑えられているため、毎年使い残しが出る。

 今年度も補正予算で1兆円減額し、その分が新たな歳出にまわった。減額分は本来は財政健全化に充てるべきで、補正予算の財源にするためにあるわけではない。

 安倍晋三首相は10月の衆院選前に、19年10月に予定している消費税増税分の使途を教育無償化などにも充てることを打ち出し、20年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を黒字にする財政再建目標も先送りした。

 政府は、来年夏には新しい目標を設定する予定だ。その際は19年度以降の次の歳出改革もまとめる必要がある。新たな計画では社会保障の制度改革も含め財政赤字の構造に切り込んだしっかりした案をつくり、PBの黒字化を確実に実現してほしい。

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