2018年9月25日(火)

豊洲問題とは何だったのか

2017/12/21 23:29
保存
共有
印刷
その他

 築地市場の来年10月の豊洲への移転がようやく正式に決まった。依然として課題は多いものの、追加工事を遅滞なく進め、円滑な移転へ努めてほしい。

 移転後の築地の跡地は東京五輪時に3千台規模の車両を収容する輸送拠点になる。選手村を整備する臨海部と都心を結ぶ幹線道路も建設する。この工期から逆算すると、来年10月の移転はギリギリのタイミングといえるだろう。

 今回、東京都と市場関係者らが移転時期で合意した点は評価するが、今も課題が山積している。盛り土がなかった地下空間にコンクリートを敷設したり、地下水を浄化するシステムを強化したりする追加工事は着手したばかりだ。

 都が設置した土壌汚染対策の専門家会議は「法的にも科学的にも豊洲は安全」という見解を示している。しかし、消費者の信頼を取り戻し、風評被害が出ないようにするためには追加工事をして地下水の調査を続けるしかない。

 豊洲市場の開場後の赤字を抑える対策も要る。経営の合理化を進め、民間の知恵も生かして利便性の高い市場に育てる必要がある。

 この点に絡んで心配なのが豊洲に併設する、店舗や温泉などからなる集客施設の行方だ。小池百合子知事が築地を「食のテーマパーク」に再開発する構想を6月に表明したことで、豊洲に進出する予定の業者が二の足を踏んでいる。

 豊洲のある江東区も反発し、移転時期が決まらない一因になった。集客施設ができなければ市場経営はさらに厳しくなる。

 小池知事が移転延期を表明した昨年夏以降を振り返ると、豊洲問題とは一体何だったのかと思わざるを得ない面もある。延期そのものには一定の合理性があったが、その後の知事の言動や打ち出した対策が裏目に出て、混迷が深まった印象がぬぐえない。

 移転が遅れたことで市場参加者への補償費だけでもすでに90億円に上っている。少なくとも、知事が繰り返す「ワイズスペンディング(賢い支出)」とは言い難い。

秋割実施中!日経Wプランが12月末までお得!

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報