2018年7月22日(日)

持続可能な財政・社会保障へ改革加速せよ

2017/12/21 0:36
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 2018年度の政府予算案の焦点だった診療報酬改定は、厚生労働、財務両相の折衝を経て医療職の人件費などに充てる本体改定率を0.55%増額させることで決着した。介護報酬は0.54%増額、障害福祉報酬は0.47%増額と、ともに引き上げる。

 国の財政は窮迫している。給付増を優先するやり方に保険料・税を負担する個人と企業の理解は得られるだろうか。医療界などにいい顔をする予算編成は、財政と社会保障の持続性を危うくする。

 同年度は社会保障費の伸びが6300億円と見込まれるところ、財務省は5千億円に抑えるのを目標にした。診療報酬のうち薬の公定価格を市場実勢に合わせて下げれば、目標を達成できるとわかった途端に政権内に緩みが生じた。

 そもそも予算編成に際し、社会保障費の増加を前提にする必要はない。首相が唱える全世代型社会保障に向け、出生数を増やすための予算は診療報酬本体や介護報酬に切り込んで捻出すべきだった。

 生活保護予算も辻つま合わせの印象が拭えない。政権内の議論は受給者の生活費などに充てる生活扶助の引き下げ率に終始した。

 重要なのは「福祉から雇用へ」の実現だ。深刻な病気などで就労困難な人を除き、教育や職業訓練と組み合わせて受給者そのものを減らす工夫が要る。また医療扶助にごく少額の自己負担を求める改革をタブー視すべきではない。

 将来を見通せば、無年金の高齢者を出さぬよう、基礎年金の財源に消費税の増税分を充てる抜本改革が課題になる。

 その年金も盤石とはいえない。歴代政権が避けてきた支給開始年齢の引き上げを俎上(そじょう)に載せるべきだ。現行の引き上げペースだと、厚生年金の男性受給者の場合、1961年4月2日生まれ以降が原則65歳になる。

 一方、欧州主要国の多くは67~68歳への引き上げ途上にある。高齢化は日本の方が深刻なのだから踏み込んだ策が欠かせない。若年層が割を食わぬよう早めに引き上げることが重要になる。

 高齢層に給付抑制や新たな負担を求める改革が政治的に難しいのはわかる。だが比較的、安定した政権運営をしている今を逃すと、団塊の世代すべてが後期高齢者になる25年を乗り切れまい。

 野党も厳しい改革に異を唱えるばかりではなく、制度の持続性を第一に考えて政策を競うべきだ。

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