2018年11月15日(木)

米だけに頼らず幅広い安保網づくりを

2017/12/20 0:06
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トランプ米大統領が国家安全保障戦略を発表した。本来ならば世界秩序の指針たるべき文書だが、持論の「米国第一」を繰り返すにとどまった。日本の安保政策の基軸が日米同盟にあることに変わりはないが、これでは心もとない。安倍政権は自由主義・市場経済を掲げる国々と幅広く安保ネットワークを構築する必要がある。

同戦略は歴代の米政権が数年ごとに策定してきた。テロとの戦いを重視したブッシュ政権が打ち出した「先制攻撃論」はイラク戦争へとつながった。

オバマ政権は中国やインドなど新興国との協調を模索し、G20首脳会議を「最高レベルの協議の場」と位置付けたが、思い通りにならなかった。

今回の戦略の特徴は、軍事力を強化し、「力による平和」を目指す考えを示したことだ。オバマ政権の国際協調主義を全否定し、冷戦期に戻ったかのようだ。選挙公約の「偉大なる米国の復活」に沿った形だが、問題は実現性だ。

いまの米国にひとりで世界の警察官を務める国力はもはやない。だからトランプ氏は「米国第一」の名の下に経済力を回復し、国際紛争とは一線を画する姿勢を見せてきたはずだ。

仲間に引き込むつもりだったロシアとの関係改善は、ロシアゲート疑惑で滞っている。中国との貿易交渉は進展を見せない。さまざまな事情があるとはいえ、これでは駆け引きとしてもお粗末だ。

中ロも「競争勢力」と名指しされたぐらいで動揺しまい。むしろ、米主導の世界秩序の落日を印象付ける結果となった。

日本はどう対処すればよいだろうか。中ロとの抜本的な関係改善は容易ではない。だとすれば、日本と同じように米国と同盟関係にあるが、トランプ政権の振る舞いには困惑している国と手を組み、国際秩序のルールづくりを主導する役回りを担うことだ。

その意味で先週、ロンドンで行われた日英の外務・防衛担当閣僚協議は有意義だった。「グローバルなパートナーシップ」の拡大をうたい、準同盟国として協力していくことで合意した。

トランプ氏がアジア歴訪時に表明した日米とオーストラリアやインドとの関係強化も重要だ。ひとつひとつの連携はさほど強くなくても、あらゆる機会を捉えて縦糸横糸を通し、しっかりした安保網をつくりたい。

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