2018年10月20日(土)

ベンチャーの経営に規律を

2017/12/18 1:11
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ベンチャー企業への資金の流れが日本でも太くなってきた。新産業を育成するにはリスクマネーの供給を増やすのと同時に、ベンチャー企業の経営の規律を強める必要がある。

一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンターによると、1~9月期の日本のベンチャーキャピタルによる国内向け投資は前年同期比22%増の875億円だった。通年は今の形で集計を始めた2013年以降で最高だった16年の950億円を上回る見通しだ。

なかでも目立つのは、ベンチャー企業による大型の資金調達だ。今月に入り、家庭用ロボット開発のグルーブX(東京・中央)は最大64億円程度、宇宙開発のアイスペース(東京・港)は101億円の増資を明らかにした。

まとまった規模の資金を確保すると製品開発に集中しやすくなるといった利点がある一方、経営の規律が緩くなる懸念がある。米国では今年、著名なベンチャーが甘い経営判断や社員のセクハラなどで壁に突き当たる事例が相次いだ。日本でも経営者は法令順守や経営管理の体制を強化すべきだ。

投資家の役割も重い。投資家はベンチャーの経営状態を正確に把握し、製品開発の進捗にあわせて段階的に資金を供与するといった工夫が要る。

経営者に助言する仕組みを整える必要もある。米国では起業の経験者が投資家に転じてベンチャーを支えることが多く、日本でもこのような人材の循環を盛んにすることが欠かせない。

証券会社や会計事務所はベンチャーの実力を冷静に見きわめるべきだ。資金回収を急いで未熟なベンチャーを上場させると、その後の成長が危うくなり、上場企業の質も劣化しかねない。

現在、IT(情報技術)に加えて金融や小売りなど幅広い分野でベンチャーが立ち上がり、その製品を使う人の裾野も広がっている。ベンチャーは社会的な責任が増していることを肝に銘じ、成長と規律の維持を両立すべきだ。

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