2018年9月26日(水)

有人の宇宙探査は国益考えて

2017/12/16 20:38
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 政府は米国が進める月の有人探査計画に参加する方針を決め、宇宙基本計画の工程表に盛り込んだ。夢はあるが巨額の費用と困難な技術開発を伴う。日本の産業育成や将来の宇宙開発に生かせるようにしなければならない。

 トランプ米大統領は月に米国人を送り込み、火星への有人探査の足場を築く計画を発表した。月周辺に有人ステーションを設置する構想もある。日本はこれらの実現へ向けた国際計画に参加する。

 中国や欧州、ロシアも月や火星探査の構想をもち、将来の有人探査も視野に入れる。資源開発への関心も高い。日本政府や宇宙航空研究開発機構(JAXA)には、国際競争に乗り遅れることへの危機感があった。しかし、有人探査は容易ではない。

 日米欧などの15カ国はこれまで国際宇宙ステーション計画で協力してきた。日本は年間約400億円を負担するが、期待したほど優れた材料や医薬品の開発が実現できたとはいえない。

 月に人を送り込むには、さらに巨費が必要となろう。日本人を月に降り立たせるのか、物資輸送や環境制御、センサー技術などでの貢献にとどめるのか。利害得失を考え冷静に判断する必要がある。

 米国の有人探査構想は急に生まれたものではない。米航空宇宙局(NASA)を中心に1990年代から国際宇宙ステーションなどで培ったノウハウを月や火星の探査に生かせないか検討してきた。

 長年の研究やデータの積み重ねがあって初めて、月や火星の有人探査も現実味を増す。

 一方、日本は月の観測実績はあるが、将来を見据えた長期の宇宙戦略に欠ける。他国の新計画が出ると慌てて対応を考えてきた。

 技術力のあるベンチャー企業もまだ少ない。NASAは2011年にスペースシャトルの運用を終了した際、民間への技術移転を大胆に進め、ベンチャー企業の育成を後押しした。日本もJAXAの事業の民間移管を加速し、効率的な宇宙開発をめざすべきだ。

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