2018年11月15日(木)

構造問題に踏み込みが足りない税制改革

2017/12/14 23:47
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小粒な改革に終始し、日本経済の抱える構造問題に正面から向き合っていない。14日に与党がまとめた2018年度税制改正大綱の印象だ。少子・高齢化が進むなかで、財政・社会保障の構造改革は急務である。税制も一体で骨太な議論に取り組む時だ。

安倍晋三政権は消費税率の引き上げを2度延期した。特に2度目の延期がなければ、消費税率は今年4月に10%に上がっていたはずだった。その代わりに、安倍政権は10月の衆院選前に、次の消費増税による税収増加分の一部を教育無償化に充て、財政健全化目標を先送りすることを決めた。

消費税率が10%になっても日本が抱える財政と社会保障の持続性をめぐる問題は解決しない。本来なら今ごろは、次の段階の改革に取り組む時期だったはずだ。

しかし、10%への消費税率引き上げは19年10月に延期したので、政府・与党の税制調査会は、その先の議論に進めない。消費税を含む財政・社会保障の抜本改革の議論を封印するなかで、来年度税制の改正も手をつけやすい見直しに終始した。

所得税改革では、高所得のサラリーマンの給与所得控除を縮小し、誰もが適用になる基礎控除を拡充した。働き方の変化にあわせた見直しは必要だが、所得の高い層の負担を、際限なく増やしていけば経済の活力をそぐ恐れもある。また、サラリーマンに比べて遅れている自営業者の所得把握などの努力も必要だ。

法人税では、賃上げ、設備投資をする企業への税の優遇措置を拡充した。本来、賃上げや投資は企業が率先して取り組む問題だが、利益をあげているのに賃上げに慎重な企業の背中を押す意味では今回の措置は理解できる。

このほか、個人住民税に上乗せする森林環境税や、海外への出国者から徴収する国際観光旅客税など新税の創設も盛り込んだ。新税の税収が新たな無駄遣いを呼ばないか心配だ。増税分は、喫緊の課題である社会保障制度の安定確保と財政健全化に充て、新政策は既存の歳出の削減などで賄うことを原則にすべきだ。

10%への消費税率上げの次をにらんだ社会保障と税・財政の一体改革は、経済財政諮問会議などが司令塔になり指導力を発揮すべきだ。税制は政府・与党税調でという政策決定の仕組み自体が制度疲労を起こしているのではないか。

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