2018年11月15日(木)

時代遅れの国際金融規制は再構築がいる

2017/12/11 23:19
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海外展開する大手銀行を対象にした新たな国際資本規制の枠組みが最終決着した。2008年のリーマン危機の反省を踏まえ、健全性を示す最低自己資本比率などのルールを大幅に強化した。

しかしこれだけでは今後の国際金融市場が直面する課題には対処できない。いまや金融の主役は銀行にとどまらず、IT(情報技術)と融合したフィンテックの台頭などでリスクの芽が拡散している。各国当局は、国際金融規制のあり方を再構築するつもりで新局面に臨む必要がある。

新しい資本規制は、27の国・地域の金融監督当局・中央銀行で構成する国際委員会が本拠を置くスイスの都市名を冠し「バーゼル3」と呼ぶ。1988年に「バーゼル1」を策定し、2004年には「2」へと規制を進化させたが、リーマン危機を防げなかった。

09年から続いたバーゼル3をめぐる長期交渉の最後の争点は、自己資本比率をはじくうえで分母となる、貸し出しなどリスク資産の算出方法だった。国内規制が厳しい米国が厳格な算定を主張し、硬直的だと貸し渋りを招くとして日欧が反論する構図だった。

最終的に日欧の立場を一定程度認める線で落ち着いた点は評価できよう。新規制は27年までに段階的に適用し、邦銀は追加の資本増強を回避できそうだ。

ただ、これで国際金融の安定が確保されるとは到底言いがたい。金融ビジネスには異業種の参入が加速している。銀行に的を絞った規制の枠組みは時代遅れだ。

中国ではアリババ集団など有力なネット商取引会社が大規模に決済・融資業務を手掛け、アジアなど海外進出をうかがっている。

国の信用力の裏付けなしに国境をこえて流通する仮想通貨への対応も課題だ。ビットコインは分裂を繰り返しながら値上がりし、トヨタ自動車の株式時価総額を上回る規模になった。今月始まった先物取引では相場安定の効果を期待できる半面、投機の拡大で乱高下を増幅するおそれもある。

千種類以上に増えた仮想通貨を使った資本調達は活況だが、危うさがつきまとう。脱税や資金洗浄の温床となるのを防ぐ国際的な監督や監視は後手に回っている。

フィンテックには金融や経済を革新し活性化する潜在力がある。その利点を生かしながらどう規制の網をかけるか。国際金融当局の知恵が問われている。

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