2018年4月20日(金)

生き残りへ変化に適応を
新風シリコンバレー (伊佐山元氏)

コラム(ビジネス)
2017/12/12付
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 2017年も師走に入り、シリコンバレーでもクリスマス模様が街並みを飾るようになった。

1997年東大法卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。2003年から米大手VCのDCM本社パートナー。13年8月、ベンチャー支援組織のWiL(ウィル)を設立。

1997年東大法卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。2003年から米大手VCのDCM本社パートナー。13年8月、ベンチャー支援組織のWiL(ウィル)を設立。

 シリコンバレーは年中、青空が広がるので季節感がない、とよく皮肉られる。だが、年末は、大手のベンチャーキャピタル(VC)が毎晩のように豪勢なクリスマスパーティーを開く。そこでは、スタートアップ(ベンチャー)企業の経営者を招いては、今年のトレンドを振り返り、来年の希望を語り合うのが慣例になっている。

 今回は17年のシリコンバレーで感じたいくつかの「変化」について考えてみたい。

 その1つが、日本企業のシリコンバレー利活用が、一定の調整局面に入ったことだ。

 この数年間、特に安倍晋三首相が15年にシリコンバレーを訪問して以来、当地への日本企業の展開は激増した。だが、その目的や意図、そして経営の意思をきちんと整理していなかった組織は、その意義や位置付けの見直しを迫られた。

 投資家向け広報(IR)効果、情報収集、ベンチャーの買収、新しい技術の開発――。シリコンバレー進出に伴う高コストに見合う成果を出せている企業は非常に少ない。

 次に、ベンチャーへの資金提供の主役の変化だ。これまでシリコンバレーでは伝統的なVCが主役を務めていたが、最近は10兆円規模のファンドを立ち上げたソフトバンクに代表されるコングロマリット企業(多角化を進める巨大企業)や、アジア諸国の政府系ファンド(ソブリン・ウエルス・ファンド)にその座を譲っている。

 時価総額が1千億円を超えるような未上場のベンチャー(ユニコーン)の成長も、世界のマネーが支えている。大企業がベンチャーの株式を高値で買ってくれるようになったので、株式を上場しなくても、一定の金銭的リスクを回避して、長期的にベンチャー経営に専念する環境が生まれた。

 日本でも「第4次産業革命」という標語で注目された各種先端技術への期待。これもピークをすぎた。実際にどのように技術を導入すれば、付加価値創造やコストカットにつながるのかという、まっとうな議論がなされるようになった。これは好ましい傾向だ。

 人は往々にして、新しい技術に過度な期待をするものだ。だが、ここで忘れてはならないのは、技術を使って「何をするか」がすべてであり、技術導入自体が何か大きな変化や付加価値を生むわけではないということだ。

 さらに、シリコンバレーに根強く残っている男尊女卑の文化や、貧富の差の一層の拡大、時流に合っていない教育など、社会全体を再考しなければならないようなテーマが一気に噴出した。18年もこうした変化は続くのだろう。

 我々も立ち止まっている場合ではない。変化を理解し、対策を練って、適応しなければ取り残されてしまう。「生き残る種とは、最も強いものでも知的なものでもなく、変化に最も適応したものである」とダーウィンも言ったように。

[日経産業新聞2017年12月12日付]

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