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日本は米国をWTOにつなぎ留めよ

世界共通の貿易ルールを定め、複数の国・地域の間の紛争解決にあたっているのが世界貿易機関(WTO)である。「米国第一」を掲げるトランプ米政権はWTOを批判し、WTOの判断に従わない可能性さえ示している。

最大の経済大国がこのような内向きな態度を示してWTOの機能が低下すれば、自由貿易の推進に強い逆風となる。日本が中心となって米国をWTOにしっかりとつなぎ留めなければならない。

WTOは10~13日にアルゼンチンで閣僚会議を開く。貿易自由化をめざすWTOの多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)は、先進国と新興国が鋭く対立して妥結のメドが全くたっていない。

それでも閣僚会議の意義はある。保護主義的なトランプ政権の誕生後初めての会議はそれぞれの国・地域がWTO改革や、電子商取引などの新たな通商課題を突っ込んで話し合う場となるからだ。

日本は欧州連合(EU)と経済連携協定(EPA)交渉を妥結させた。11カ国による環太平洋経済連携協定(TPP)の成果もいかして議論を主導してほしい。

焦点の米国はWTO協定上の通報義務を怠っている国・地域を対象に、事実上の罰則を科す提案をしている。念頭にあるのは中国だろう。

たとえば、ある国が製品の国家規格を変えた場合、他の加盟国・地域に通報しなければならないルールがある。しかし、中国はインターネット安全法の施行時に通報を怠った。この点を米国は問題視しているとみられる。米国の提案は理解できる。

一方で米国は、WTOの紛争処理機関で最高裁判事にあたる上級委員の欠員を埋める手続きに入ることに反対している。事態を放置して、WTOが紛争解決の役割を十分に果たせないのは困る。

通報義務の提案で米国と足並みをそろえてWTO改革をけん引しつつ、上級委員の選任を巡る米国の理不尽な対応を戒める。日本にはそんな建設的な役割が求められている。欧州も自由貿易の旗振り役としての日本に期待している。

TPPや温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に続き、WTOからも米国が離脱すれば、世界の自由貿易秩序は崩壊の瀬戸際にたたされる。そんな最悪の事態を防ぐためにも、今回の閣僚会議をWTOにおける米国の重要な役割を再確認する場としてほしい。

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