2017年12月17日(日)

春秋

春秋
2017/12/8付
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 「プライバシーは罪である」。現在公開中の米映画「ザ・サークル」は、そんな社是を掲げた架空のIT(情報技術)企業「サークル」が舞台だ。世界の検索需要の9割を握り、交流サイト会員は30億人。街にはカメラを置き人々の個人情報を絶え間なく蓄積していく。

▼こう書くと秘密結社めくが、1万人が働くオフィスは明るく設備は整い、若者が憧れる職場だ。原作小説が発表された4年前はグーグルとアップルとフェイスブックを足したようだと話題になった。創業者は情報の公開と無料化が世界を良くすると無邪気に信じる。これも西海岸文化となじみ深い米IT業界の空気を映す。

▼こちらは現実の話。「世界中の情報を整理し人々が使えるようにすること」が自社の使命。そう宣言していたグーグルが、自社の動画サービス「ユーチューブ」の映像をアマゾン製の端末から見られなくした。アマゾンがグーグル製品を扱わないからだという。アマゾンはほかの競合他社の製品も取り扱っていないらしい。

▼規模を武器にした企業間のつぶし合いとさらなる独占。見慣れた光景とはいえ「IT業界よおまえもか」の感もわく。架空企業のサークルは蓄積した情報で政治家や一般人の運命を左右し始める。現実でもネットは選挙の当落や就職活動に影響を与えている。社会の基盤となった巨大企業の一挙一動をきちんと注視したい。

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