2017年12月17日(日)

生産性を踏まえ賃上げの議論を深めよ

社説
2017/12/6付
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 2018年の春季労使交渉に臨む労働組合と経営側双方の方針が定まってきた。連合は基本給を一律に上げるベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせ、月給を4%程度増やすよう要求することを決めた。経団連は月給の3%引き上げを企業に求める方向だ。

 デフレ脱却に向け、消費拡大のカギを握る賃上げは一段と重要になっている。企業の労使は自社の生産性を踏まえながら、賃上げの議論を深めてほしい。

 連合によると17年春の平均賃上げ率は1.98%と、4年ぶりに2%を下回った。消費を喚起して企業の設備投資を活発にし、経済を活性化させるには、起点の賃上げが勢いを増す必要がある。

 企業業績は上場企業の純利益が18年3月期に過去最高になる見通しだ。手元資金は上場企業だけですでに100兆円を上回る。企業が賃上げに意欲的になれる環境にあるといえるだろう。

 そのなかで連合の要求は控えめにみえる。ベア2%、定期昇給を含め4%という数字は15年春の春季交渉から変えていない。

 大手企業と中小企業の賃金格差是正を進めるためだが、企業収益の伸びに応じて賃上げ要求も柔軟に変えるのが本来の姿だろう。業績が好調な企業の労組は積極的な要求をすべきだ。

 経団連は安倍政権の要請を受け入れるかたちで、ベア、定期昇給を合わせて3%という高めの賃上げを企業に呼びかける。だが企業が賃上げで無理をすれば、競争力を損なって翌年以降の賃金上昇が抑えられる心配もある。

 人材や設備への投資など経営資源の配分をうまく判断した企業が成長し、そうでない企業が淘汰されるのが市場経済の強みだ。政府の介入はそうした民間の活力をそぎかねない。

 経営者は自社の生産性に見合った賃上げが例年以上に重要になる。もちろん成長力のついた企業には積極的な賃上げを求めたい。

 来春の労使交渉では、働き方改革で社員の残業代が減った分をどのように補うかという課題もある。生産性が高まれば賞与で還元するなどの方法が考えられよう。

 継続的に賃金を上げるために何より求められるのは企業の生産性の向上だ。企業の労使は春季交渉で、年功色の残る賃金制度の思い切った改革や女性、高齢者の働きやすい環境づくりなど、多面的に議論してもらいたい。

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