春秋

2017/12/4 1:13
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いい国つくろう鎌倉幕府――。語呂合わせで覚えた年号は忘れにくいものだ。ところが、最新の学説では成立の時期をめぐり他に5説あるという。高校生向け参考書に紹介されていた。源頼朝が守護・地頭の任命権を握った年として1185年が学界で最有力説らしい。

▼研究成果を反映し、語呂も変わるかもしれない。「歴史とは現在と過去の尽きることのない対話である」とのE・H・カーの言が浮かぶ。こちらも、そうした「対話」の結論なのか。このほど、歴史の教員らで作る研究会が高校の日本史や世界史で学ぶ用語を今の半分の1600語ほどに減らそう、との提言案をまとめた。

▼用語は1950年代の3倍弱にも増えたという。先生は教えきれず、生徒の方も暗記を嫌って敬遠する。大胆に人名などを削り、かわりに「気候変動」や「グローバル化」など大きな流れの理解につながる語を追加したそうだ。「暗記ものという固定観念を脱し、考える楽しさを伝える教育に」とは研究会会長の弁である。

▼とはいえ、削除案にはちょっと驚く。蘇我馬子、新撰組、坂本龍馬、クレオパトラ……。ヒーローや悪役に導かれ歴史に関心を持つ生徒も多いだろうに、学びの好機を逸することになりはしまいか。将来「過去との対話」が成立しなくなるのでは、と心配にもなる。パイプを閉ざすことにならぬよう、切に願いたいものだ。

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