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引退での幕引きは許されない

大相撲の横綱、日馬富士が現役を引退した。平幕、貴ノ岩を暴行し負傷させたことへの責任を取ったものだ。

日馬富士に対しては、警察による傷害容疑での書類送検に加えて日本相撲協会による厳しい処分が予想されていた。これ以上、横綱として事件の渦中にあることは、最高位の名を汚すばかりでなく、相撲そのものへの信頼も失われかねない。自ら身を引いた決断は妥当であろう。

しかし、これで事態の幕引きをすることは許されない。

大相撲では、2007年に親方らが弟子を暴行して死なせたとして有罪判決を受け、10年には横綱、朝青龍が酔って男性を殴るなど事件が続いた。協会は研修会などを開催し、力による手荒い指導を改めるよう親方らを啓発するとともに、力士らの意識も変えようと努めてきたはずだった。

ただ、今回、他の力士の模範となるべき横綱の起こした不祥事をみれば、再発防止策の効果はなかったと言わざるをえない。

日馬富士は引退の会見で暴行の動機の一端に触れ、「後輩の礼儀がなっていない時に直し、教えるのは先輩の義務」などと語った。

正しいと信ずるなら、実力を行使してもかまわないとも受け取れる。日馬富士のみならず、角界にも染みついている体質とするなら、その是正は急務であろう。

今後は司法や医学の専門家が、暴力や暴言が心身に及ぼす悪影響を親方や力士らに繰り返し教えるなど、協会は踏み込んだ対策を取るべきだ。すでに設けている通報窓口の充実や、けいこ場の視察なども検討すべきではないか。

今年、大相撲は年6場所、計90日間の開催が、すべて満員となった。1996年以来という。

ベテラン勢の奮闘や若手の台頭で、連日充実した取組が続き、女性や少年らファンの層も厚くなった。伝統ある競技のすそ野を広げ、発展させるために、相撲協会は最後のチャンスと肝に銘じ、暴力根絶へ立ち向かってほしい。

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