2017年12月15日(金)

薬価算定ルールは費用対効果を基本に

社説
2017/11/29付
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 厚生労働省は薬価制度の抜本的な改革案を固めた。従来に比べ大幅な引き下げをめざす。医療財政の悪化を防ぐねらいだが、価格に見合った効果があるかという費用対効果を基本に、わかりやすいルールで価格を決めるべきだ。

 医療サービスの公定価格である診療報酬の改定は、2018年度予算の焦点となっている。薬価を引き下げれば、診療報酬の薬剤費部分を下げられる。

 医師の人件費にあたる診療報酬の本体部分は、減らさずにすむよう財源を捻出する方向で調整が進んでいる。製薬会社などからは、帳尻合わせのために薬価の引き下げを求められているのではないかと疑う声も出ている。

 薬価算定の仕組みは複雑だ。新薬は海外の類似薬なども参考にしつつ比較的高い価格が付くが、2年に1度の見直しのたびに引き下げられる。特許が切れ、成分も効果もほぼ同じ後発薬が出るとさらに大きく引き下げられる。

 今回の改革案では価格の一層の引き下げで、後発薬への置き換えを加速する。製薬会社が新薬開発の費用を回収しやすいよう一定期間、価格を下げずにすむ「新薬創出加算」の対象は絞り込む。

 医療費の約2割を占める薬剤費の抑制は必要だが、これらは薬価を適正に決めるというより、下げること自体が目的化しているようにもみえる。

 薬価をめぐっては、優れた効果を示す抗がん剤「オプジーボ」が高すぎるとして批判を浴びた。今年2月に薬価を急きょ半額に下げたが、根拠は明確でなかった。

 薬価の引き下げを急ぎすぎるとメーカーの開発意欲がそがれる。海外の優れた製品が日本に入ってこなくなる懸念もある。価格が低くなりすぎれば、後発品の価格優位性が薄れ販売を妨げかねない。ていねいな制度設計が必要だ。

 厚労省は18年度、オプジーボを含む13の製品について試験的に費用対効果の分析結果を反映させて薬価を改定する。対象をできるだけ早く広げてほしい。薬価の算定は費用対効果を基本とし、透明性を高める姿勢を明確にすべきだ。

 製薬会社も、研究開発力を高めることなしに薬価引き下げに異を唱えるばかりではいけない。画期的な新薬の多くは海外製なのが実情だ。政府は、製薬企業が最新の技術を使い、効率よく低コストで臨床試験などができるよう制度面の支援をすべきだ。

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