2017年12月17日(日)

国有財産の処分に透明性を

社説
2017/11/28付
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 国民の財産である国有地が約8億円も値引きされて学校法人「森友学園」に売却された。にもかかわらず資料が廃棄され、妥当性を検証すらできない。そんなずさんな実態が会計検査院の報告書で改めて浮き彫りになった。

 安倍晋三首相が国会で「国有地は国民共有の財産であり、売却にあたっては国民の疑念を招くことがあってはならない」と答弁したのは当然だ。真相究明と再発防止に全力を挙げるべきだ。

 報告書は値引きの根拠となった国有地のごみの推計量について「十分な根拠が確認できず、慎重な検討を欠いていた」と指摘した。

 森友学園をめぐっては首相の昭恵夫人が開設予定の小学校の「名誉校長」に一時就任した。値引きに政治家の関与や官僚の忖度(そんたく)があったか否かが問われたが、報告書は触れなかった。

 8億円の積算根拠となる資料を財務省や国土交通省が廃棄していたからだ。保存期間1年未満の行政文書はいつでも廃棄できるとの説明に国民の納得は得られまい。保管ルールの強化は欠かせない。

 検査院によると、国土交通省大阪航空局がごみの量を過大に推計し、大幅な値引きにつながった可能性がある。政府は「法令に基づき適正な手続きで処分した」と説明してきたが、前提は崩れた。

 野党は昭恵夫人や財務省理財局長としてかかわった佐川宣寿国税庁長官らの国会招致を求めている。与党も率先して協力すべきだ。近畿財務局職員らへの背任容疑での告発を受理した大阪地検特捜部は、徹底して真相を解明してもらいたい。

 会計検査の課題もある。衆院選後の公表となったのはなぜか。もっと迅速に対応できなかったか。さらなる検査の改善を求めたい。

 財務省は今後、国有財産の売却の際、地下にごみが埋まっているような特殊な例では、専門家に撤去費用の算定を依頼するという。こんな当たり前のことすらできていなかったのは驚きだ。抜本的な再発防止策を打ち出すべきだ。

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