2018年7月24日(火)

減反廃止を機にコメの競争力を高めよ

2017/11/27 1:00
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 政府は2018年につくるコメから生産調整(減反)をやめる。市場競争を避け、生産性の向上を阻害してきた制度は廃止して当然だ。コメ農家の自由な発想で価格競争力を高めたり、付加価値を高めたりする農業改革の基本路線を貫いてもらいたい。

 1970年代に本格実施された減反政策は、政府主導の生産カルテルでコメの供給過剰を防ぎ、価格を下支えすることが狙いだ。だが、「余ったら減反強化」という縮小均衡の考えでは、国際競争力のあるコメをつくり、海外市場を切り開く戦略を描けない。

 意欲的な農家が農地を集約し生産規模を拡大しても、フル生産できなければ価格競争力はそがれてしまうからだ。

 斎藤健農林水産相は今月、日本記者クラブでの会見で「国内需要が縮小し続けることを踏まえれば、生産調整制度はいずれ行き詰まり、市場の混乱を招く」と指摘した。その認識は正しい。

 にもかかわらず、全国農業協同組合中央会は全中などの生産者団体などが新たな全国組織をつくり、そこが主導して生産調整を継続する政策を提言した。政府の関与も求めている。これでは農協の意識改革に疑問符が付く。

 農協が力を入れなければならないのは自己改革を進め、海外の市場にも日本のコメを販売できる組織に変わることだ。政府主導の生産調整が終わる来年以降、公正取引委員会は農協などがコメの生産カルテル行為をコメ農家に強要し、自由な競争を阻害することがないように目を光らせてほしい。

 政府は食べるコメの代替として、家畜用の飼料米を補助金で増産する政策を進め、減反政策後のコメ余剰を防ぐ方針だ。しかし、この政策にも疑問はある。

 農水省は飼料米を100万~110万トン増産するために必要な補助金を1600億円程度と試算する。国民1人1食あたりに換算すれば1円ほどの負担というが、これでは補助金頼みの農業経営からは脱却できない。

 弱い農業は手厚い保護で守るという古い発想を改めなければ、農家はますます弱体化する。環太平洋経済連携協定(TPP)など貿易自由化の対抗策として、協定が発効していないのに予算の増額を求める発想も旧態依然としたものだ。自由貿易をいかし、農業を輸出産業として成長させたオランダのような政策が不可欠だ。

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