2018年7月24日(火)

補助金のバラマキで生産性は上がらぬ

2017/11/25 20:41
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 安倍晋三政権が近く、日本経済の生産性を上げるための「生産性革命」と銘打った政策をまとめる。人口減とグローバル化がすすむ中、日本経済の持続力を高めるには生産性向上が欠かせない。

 大事なのはその手段である。中小企業や農業者への補助金のバラマキで生産性は上がらない。規制の撤廃や労働市場改革を断行し、企業や産業の新陳代謝を後押しする。安倍政権はそんな本物の構造改革を進めるべきだ。

 安倍首相は2020年度までの3年間を「生産性革命・集中投資期間」と位置づけている。懸念されるのは、「生産性革命」の名目で生産性向上につながらない補助政策が繰り返されそうな点だ。

 例えば、中小企業の設備投資を支援する「ものづくり補助金」制度があるが、補助金をもらっても、企業は自己負担した分の費用さえほとんど回収できずにいる。

 中小企業がもっとIT(情報技術)投資をすべきだとしても、政府が費用対効果を考えずに補助金を配るのは問題が大きい。17年度補正予算案で安易に支援額を膨らませるべきではない。

 生産性上昇のカギを握るのは規制改革だ。企業や個人に自由を与えて創意工夫を引き出し、新たな商品やサービスを生み出す環境を整えやすくなるからだ。

 その目玉とされるしくみに「サンドボックス」がある。人工知能(AI)や宇宙活用などの分野でいまの規制を一時的に停止し、企業や個人が思い切った実験をしやすくする。その発想は正しい。

 焦点は進め方だ。いまの法律に抵触するか否かの判断が微妙な「グレーゾーン」に対象を限ると、効果は小さくなる。対象を広げるため、現行法の適用除外項目を最大限つみ上げてほしい。

 一般の自動車の相乗り(ライドシェア)にも取り組むときだ。裁判所が解雇無効の判決を出した後で、労働紛争を金銭で解決するルールも早急にまとめるべきだ。

 生産性向上につながるイノベーションの分野では、国際的に引用される論文や大学のランキングで日本の地位は下がる一方だ。人や情報、カネなどの面から取り組みをゼロベースで刷新・強化する必要がある。

 日本経済の実力である潜在成長率は1%未満に低迷している。これを一過性の補助金で押し上げることはできない。大胆な構造改革を息長く続けねばならない。

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