2018年9月23日(日)

サイバー寡占に競争当局は立ち向かえ

2017/11/24 0:01
保存
共有
印刷
その他

 サイバー空間における寡占や独占にどう対処するのか、世界各国の競争当局の共通した課題に浮上している。

 IT(情報技術)の発展は生活を便利にし経済効率を高める一方で、ネット上ではごく少数の企業が市場を牛耳る「一人勝ち」が起こりがちだ。健全で自由な競争環境を維持するには、政府の役割が重要になる。

 欧州委員会などに比べIT寡占への切り込みが甘いといわれてきた日本の公正取引委員会を含め、各国当局の動向に注目したい。

 世界的な関心を集めているのは欧州委と米グーグルの係争だ。欧州連合(EU)の競争法に違反したとして、欧州委は円換算で3000億円もの巨額の制裁金を科した。これに不服のグーグルはEU司法裁判所に提訴した。

 日本でも公取委が民泊仲介最大手の米エアビーアンドビーの日本法人への立ち入り検査に踏み切った。エアビーと契約した宿泊代行業者に他の仲介サイトを使わないよう強要した疑いという。

 米国では通信大手のAT&Tによるメディア大手のタイムワーナーの買収に司法省が待ったをかけた。複合型寡占企業の登場を危惧したとみられる。

 こうした係争で当局側がしばしば問題にするのは、1つの分野の寡占を武器にして隣接する市場からもライバルを排除し、なし崩しで寡占領域を広げる手法だ。

 たとえば欧州委によると、グーグルは自社の検索サイトで商品情報を調べた利用者に対し、自社の価格比較サービスの内容を優先表示した。検索というネットの入り口における支配力をテコにして、価格比較サービスの公正競争を阻害したという見方である。

 かつてパソコンの基本ソフトを寡占した米マイクロソフトは、その力を乱用してネット閲覧のブラウザー市場で競うネットスケープを排除したとして、米司法省に提訴された。同様の行為があれば競争当局が是正するのは当然だ。

 ネット上のサービスは無料のものも多く、値上げなどを材料にする従来型の競争政策の通用しにくい部分はある。

 それでも、政府が市場の動向に目を光らせ、横暴な振る舞いは許さないというメッセージを発するのは、寡占型プレーヤーの自制を促すうえで効果があろう。ITのさらなる発展のためにも、競争当局の役割は小さくない。

秋割実施中!日経Wプランが12月末までお得!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報