2018年11月13日(火)

経済改革の全体を見据えた税制議論を

2017/11/22 23:09
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2018年度の税制改正作業が始まった。与党の税制調査会では、所得税の見直し、賃上げ企業への法人税優遇の拡充などが検討課題にあがっている。社会保障や規制なども含め経済改革の全体像を見据えた議論を期待したい。

与党税調の議論開始に先立って、政府税制調査会(首相の諮問機関)は、個人の働き方の多様化にあわせた所得税改革などを盛り込んだ中間報告をまとめた。

報告は、会社に属せずインターネットを経由して仕事を請け負うなど働き方が多様化しているのにあわせて、所得控除のあり方を見直すよう提言した。

給与所得控除の上限220万円(年収1000万円)を引き下げ、所得の高い会社員の税負担を増やす一方、会社員以外も対象になる基礎控除(38万円)を増やすのが改革の方向で、具体策は今後与党税調で検討するという。

終身雇用の会社員と専業主婦という世帯がもはや標準とはいえなくなるなかで、働き方にあわせた所得税改革の方向は理解できる。ただ、実施にあたっては負担の適切なバランスや、社会保障など他の制度改革との関係への目配りが必要だ。

17年度改正でも配偶者控除見直しのために、所得の高い会社員世帯が増税になった。高所得者層への負担増が重くなり過ぎれば、経済の活力を損なう恐れがある。

高額の所得がある高齢者の公的年金所得控除の縮小も検討課題にあがっている。年金、医療、介護など社会保障の財政が厳しいなかで、余裕のある高齢者には負担を求めることは必要だ。税と社会保障で改革をばらばらに進めるのではなく、整合性をとりつつ進めるべきだ。

与党税調では賃上げ企業への法人減税の拡充も検討する。賃上げを税制面でも支援することは理解できる。さらに、米議会では連邦法人税率を現行の35%から20%に下げる税制改革案を審議中だ。こうした世界の潮流にも目配りが必要だ。

安倍晋三政権は「一億総活躍」「働き方改革」「生産性革命」「人づくり革命」など経済改革の看板を次々とかけ替え、そのたびに新たに検討会議をつくっている。

税制や財政・社会保障改革を総合的に議論するには検討会議を乱立させるのではなく、経済財政諮問会議などを司令塔に、全体をみながら一体的に進めるべきだ。

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