2017年12月17日(日)

日産の不正招いた組織の断層

社説
2017/11/21付
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 日産自動車は無資格の従業員が新車の完成検査をしていた問題で、不正の原因分析や再発防止策を盛り込んだ報告書をまとめた。

 その中で注目すべきは工場などで実際に手を動かして作業する現場の人たちと、いわゆる管理職の間の根深い断絶だ。この体質を是正しない限り、第2、第3の不祥事が起きても不思議ではない。

 日産によると、完成検査の不正は遅くとも1989年には始まった。その後、同社は仏ルノーの傘下に入るなど経営体制は激変したが、検査現場における不正は続いたという。当事者にも法令違反の認識はあり、他人の印鑑を流用するなどの隠蔽工作も確認された。

 こうした一連の不正は消費者の信頼を裏切る行為であり、弁明の余地はない。徹底した再発防止策が求められるゆえんだ。

 加えて今回の不正は日産内部のゆがみも浮き彫りにした。現場で働く一線の従業員と、管理職や経営陣の意思疎通の不全である。

 例えばある工場で増産する時はそれに応じた検査員の増員も必要だが、経営陣や管理職は現場の作業実態を理解せず、何も手を打たなかった。一方で現場側からも「本社に言っても聞いてもらえない」というあきらめからか声が上がらず、結果として検査不正が拡大した例が実際にあったという。

 国土交通省の検査で不正が発覚し、会社として再発防止策を打ち出した後も、一部の工場で不正が続いていた。これも経営の方針が組織全体に浸透しにくい企業体質を表すものだ。組織内部の「見えない壁」を解消し、風通しのいい企業文化をつくることこそ真の再発防止策である。

 これを機に完成検査のあり方についても再検討してもよい。日産が不正に手を染めて以降、2千万台を超える車を国内に出荷しているが、「検査不正に起因する品質問題は1件も確認できていない」という。不正は不正として厳しく断罪する一方で、「検査が実態に即しているのか」といった点も改めて考えるときだ。

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