2017年12月16日(土)

パリ協定の実行へ日本は積極的役割を

社説
2017/11/21付
保存
共有
印刷
その他

 温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の運用ルールなどを話し合う第23回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)が閉幕した。協定開始時期の2020年に先立ち、18年から温暖化ガスの排出削減量の評価や目標の上積みを検討することなどで合意した。

 先送りした課題もあるが、温暖化対策の着実な実施へあらためて結束を確認できた意義は大きい。日本も合意を踏まえ、対策の強化が求められる。

 COP23では、世界第2位の温暖化ガス排出国である米国が、今年6月にパリ協定離脱を発表した影響が懸念された。先進国に対する途上国の不信が高まり議論が難航するおそれがあったからだが、交渉の停滞は回避できた。

 米国内でもパリ協定を支持する声は多い。国際社会は米政府に離脱を思いとどまるよう、粘り強く働きかけ続けねばならない。

 パリ協定は地球の気温上昇を産業革命前に比べ2度未満に抑えるとしているが、現在の各国の温暖化ガス削減目標を合わせても3度以上の上昇が避けられない見通しだ。不足分をできるだけ早期に明らかにし、目標の引き上げにつなげるのが今回の合意のねらいだ。

 日本は30年度までに、温暖化ガスを13年度に比べ26%削減する目標を条約事務局に提出している。今後の目標設定では上積みを迫られるだろう。

 しかし、新たな目標の検討に必要な温暖化対策の長期戦略は定まっていない。火力、原子力、太陽光などの最適な電源構成(ベストミックス)を将来的にどうするか早期に詰めなければならない。

 COP23では、日本が国内外で石炭火力発電所の建設計画を進めていることに、戸惑いと非難の声があがった。

 日本は原発の再稼働が限られ、電力を石炭火力で補わざるを得ない事情はある。長い目で脱石炭を進めるにはどんな方法があるかも検討すべきだ。

 政府はCOP23で記者会見を一度も開かず、出席した中川雅治環境相も海外メディアと接する機会はほとんどなかった。石炭火力の問題ばかりが注目されるなか、日本の得意な環境技術や対策について、政府が直接説明する場を設けなかったのは残念だ。

 パリ協定のルールづくりをはじめ、温暖化対策で日本が国際的な役割を果たすには、政策をわかりやすく対外発信する工夫も要る。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報