2017年12月16日(土)

「サケ不漁の謎」解く調査を

社説
2017/11/20付
保存
共有
印刷
その他

 サケ、スルメイカなどの不漁が深刻だ。主因はウナギのような乱獲ではなく、海水温など海洋環境の変化とみられる。海洋環境の調査は地上の観測より歴史が浅い。地球温暖化の影響が広がっていることも踏まえ、科学的な調査に力を入れるべきだ。

 北海道のサケの漁獲量は昨年、24年ぶりの不漁を記録した。今年の秋サケ漁は昨年をさらに4割も下回り、高騰したイクラを狙った盗難事件まで起きている。スルメイカの漁獲も激減し、水産加工業などに依存する地域経済への影響も心配だ。

 海水温は十年単位で寒冷期と温暖期が交互に訪れ、海域によって変化も異なる。イカの減少は日本近海の水温が低下し始めたことが要因とみられる。サケは低い水温を好むが、稚魚が生育するオホーツク海やアラスカ近海の水温が上がったため、日本に回帰する量が減ったのではないかという。

 逆に、1980年代をピークに日本近海の漁獲量が激減したマイワシは水温が下がるとともに増加傾向に転じている。

 海水温の変化と水産資源の変動の関係は長期にわたって海洋調査を積み重ねた結果、徐々に判明してきた。調査を継続すれば魚種ごとの増減をある程度予測し、漁業経営への影響を抑えることが期待できる。

 ただ、こうした予測を難しくする要素もある。地球温暖化の影響だ。温暖化は単に海水温を上げるだけでなく、極地の海氷や氷河が解けた影響で水温が下がる海域も出ている。海流などにも影響は及ぶとされる。

 温暖化が海洋環境や周期的な水産資源の変動にどう影響するかをつかむためには、これまで以上に精度の高い科学調査が必要だ。

 海洋調査には各国の連携が重要だ。国内で海洋調査を担う水産研究・教育機構は今年、米海洋大気局(NOAA)と調査、研究で協力することを決めた。費用対効果を重視しながら、世界の国々と海の異変を解明してもらいたい。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ

関連キーワードで検索

イカスルメイカサケ不漁海水温



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報