2017年12月17日(日)

ネット広告への信頼をどう高めるか

社説
2017/11/20付
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 米国でネット広告の規制強化に向けた議論が進んでいる。2016年の大統領選への介入を狙い、ロシア当局がフェイスブックやツイッターといった交流サイト(SNS)の広告を悪用した疑いが強まっていることが背景にある。

 ネットの影響力が強まり、世界の広告市場では17年にネット広告がテレビを上回るとの予測も出ている。言論の自由や画期的なサービスを生む土壌となる自由な環境を保つのは重要だが、より厳しい規制を課すのは妥当だろう。

 ただネット広告への信頼を高めるのに、規制を強化するだけでは十分とはいえない。

 米国で議会に提出された法案は、政治広告の資金の出し手を明確にすることなどを求めている。だが実際は、大統領選では明らかに政治が目的と分かる広告に加え、宗教や人種といったテーマを取り上げた意見広告が目立った。

 日本では13年に改正した公職選挙法でネットを使った選挙運動が解禁され、ネット広告にはテレビなどに準じた基準を適用した。一方、意見広告の掲載の判断はネット企業が担っており、米国のような問題が起きる恐れもある。

 意見広告は政治広告に比べて範囲が広く、掲載や情報開示の基準を定めるのは容易ではない。それでも、日米の規制当局やネット企業は不正防止や透明性の向上に向けて粘り強く議論すべきだ。

 ネットならではの難しさも浮上している。ネットは技術の進化が速く、問題が見つかっても既存の法律を適用できないことがある。判断に時間がかかり、その間に状況が変わることもあった。

 こうした課題のあるネット広告が信頼を保つうえで大切なのは、ネット企業が自らを律することだ。多くのネット企業は収益の大半を広告に依存しており、広告主の倫理観や判断も重要になる。

 米国では今春、動画共有サイトのユーチューブが不適切な内容を流した問題が発覚し、大企業が広告を引き揚げる事態に発展した。ユーチューブは短期間で対策を講じ、広告主の役割が大きいことを示した。

 利用者による監視も欠かせない。多くの人が日常的に使うことがネット企業の競争力の源になっており、その離反は大きな打撃になるからだ。一人ひとりの利用者が情報を読み解く能力を高め、ネット企業に厳しい視線を注ぐこともより重要になっている。

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