2017年12月16日(土)

開かれたアジアへ課題多い

社説
2017/11/18付
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 トランプ米大統領の初来日から東アジア首脳会議まで、アジアを舞台とした高いレベルの外交イベントがこのところ相次いだ。そのなかで、北朝鮮の核・ミサイル開発に対し地域の国々がほぼそろって厳しい姿勢を確認したのは、一定の成果だ。

 ただ、もうひとつの焦点である南シナ海問題では、実効支配をめざす中国の動きに歯止めをかける機運が弱まった印象を受ける。日本は米国とともに「自由で開かれたインド太平洋」を訴えたが、その実現に向けた課題も浮き彫りになったといえる。

 マニラでひらいた東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議は、南シナ海に関する「懸念」を議長声明に盛り込まなかった。中国による人工島の造成などを念頭に2014年から「懸念」を表明してきたが、今回は中国への配慮を鮮明にした形だ。

 日本の安倍晋三首相は、中国の習近平国家主席との会談や東アジア首脳会議などの場で、南シナ海の問題について突っ込んだ言及をしなかった。トランプ大統領も、この問題をことさらにとりあげることはなかった。

 北朝鮮に圧力をかけるうえで重要なカギを握る中国の立場に目配りするのは、当然ではある。とはいえ日米は、中国が北朝鮮にどんな働きかけをするか、注視していかなくてはならない。

 北朝鮮の問題をひとつのテコに、中国が地域における主導権を強めた印象は強い。「自由で開かれたインド太平洋戦略」を看板倒れにしないよう、日米はこれまで以上に汗をかく必要がある。

 気がかりなのは米国の求心力の低下だ。ASEANが対中配慮に傾いたのは、どこまで米国をあてにできるか不安になったため、と見る向きは少なくない。

 安倍首相はトランプ大統領との緊密な関係を内外に印象づけた。と同時に、習主席との関係も前に進めたようにみえる。そうしたパイプを地域の安定にどう役立てていくかを、問われている。

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