ありがたきは共同創業者
SmartTimes (村松竜氏)

2017/11/22 6:30
保存
共有
印刷
その他

私は新卒でベンチャーキャピタル(VC)に就職した。米国シリコンバレー駐在時に電子商取引(EC)革命を目の当たりにし、EC決済事業を日本で行うため起業した。1999年、29歳のときだった。

新卒でジャフコに入社。担当していたGMOインターネットの上場後に決済のスタートアップを起業。2005年にGMOベンチャーバートナーズを設立。12年よりシンガポールを拠点に活動

新卒でジャフコに入社。担当していたGMOインターネットの上場後に決済のスタートアップを起業。2005年にGMOベンチャーバートナーズを設立。12年よりシンガポールを拠点に活動

投資する立場と投資される立場を経験し、「リスクを取ってお金を出す側の論理」と「理屈ぬきで勝負に出る側の言い分」の両方を知った。2005年にVCを立ち上げ、これまで国内外の100を超える数のスタートアップに資金を提供した。それ以来、上場会社の経営とVCのパートナーという二足のわらじを履いて活動している。

私は良い共同創業者の存在が投資の成否をわけると考えている。

1人のスーパースター型の起業家が率いる企業より、共同創業の方が成功の度合いが大きくなる傾向がある。しかも成長の継続時間が長い。「高く、長く飛べる」のだ。

日本ではソニーホンダが共同創業の代表格だ。米国でもヒューレット・パッカードやマイクロソフト、アップル、グーグルなどの名前があがってくる。ここでいう共同創業とは2人で起業した場合のみでなく、志を共にした人が創業期に加わったケースも含む。GMOベンチャーパートナーズの投資先で最近上場した会社にも、フリークアウトやユーザベース、マネーフォワードなどがある。

共同創業がなぜ重要なのか。それは間違った意思決定が減ることだ。私はこれに尽きると思っている。

創業期のスタートアップの社長は自社の成長に重大な影響を及ぼし、社内文化を形成するような判断を毎週のように迫られる。社員の昇格や降格、給料の配分などだ。取締役会などで決めるにしても、社長が正しい答えを持っておく必要がある。そのときに誤った判断をすると、ボディーブローのように会社にじわじわとダメージを与える。

誤った判断が致命傷になる場合もある。大規模投資や事業転換のような資本移動にからむ決断だ。時限爆弾の青と赤のどちらの線を切るべきか、震える手でペンチを握るシーンがよく映画には登場する。社長は人知れず、そのような場面に直面しているのだ。

人はときに間違える。そのときに異なる視点を持った共同創業者がいれば、間違った判断をぐっと減らせる。織田信長は重要事項はすべて1人で決めていたという。天才ゆえに数々の事業を成功させ、戦いにも勝利した。だが、後に天下統一を果たした彼の後継者たちとは異なり、彼には決定を左右するような進言や反対をするナンバー2が存在しなかった。

起業家の相談に応じるのは私の仕事の1つだ。そこでは鉄則や経験則を話す。だが、完全に同じ状況は起きない。最後に決めるのは社長だ。そのとき、投資家から見ても隣にいて欲しいのが共同創業者なのだ。

[日経産業新聞2017年11月20日付]

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]