星へのまなざし(1) 横山大観「彗星」
東京国立近代美術館主任研究員 鶴見香織
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日本では月に比べ星を描いた作品は少ない。そもそも小さいからなかなか気付かれない。近代美術に星をみつけて、作家たちが星に向けたまなざしを探ってみたい。
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横山大観がハレー彗(すい)星を迎えたのは1910年、42歳になる年のことだった。76年周期で太陽に近づくハレー彗星はこの年の4月末には肉眼で見えるようになり、太陽に最接近した5月19日前後には半天に届く長さにまで尾を成長させた。新聞は連日この星の動...
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