2018年1月24日(水)

春秋

2017/11/17 1:10
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 江戸時代、将軍家は将棋を奨励し、徳川吉宗の時代、旧暦11月17日に江戸城の格式高い書院で名手の戦いを観覧した。これに由来し、きょうは「将棋の日」。今年は後世に語り継がれる対局があった。コンピューターソフトPONANZAと人間の最終決戦、電王戦だ。

▼佐藤天彦名人と対峙した将棋ソフトの先手番初手は3八金。飛車の横に金を付けた。人間の棋譜でほとんど見かけぬ手。驚くべきは決断の速さだ。ペースを乱されたのか。名人は71手で投了した。ネットの生中継を見守ったファンからため息が漏れた。藤井聡太四段の快進撃に隠れた感はあるが、歴史的な出来事であった。

▼「コンピューターがプロを負かす日は?」。1996年の将棋年鑑に面白いアンケートがある。米長邦雄さんは「永遠になし」。加藤一二三さんは「来ないでしょう」。否定的予想が目立つなか、当時七冠の羽生善治さんは「2015年」と回答。「プロは要らなくなるので来ないよう祈るしかない」と答えた若手もいた。

▼日本の労働力の約5割が20年後、人工知能やロボットで代替可能との調査がある。「新手一生」を掲げ、名人に就いた升田幸三さんは「棋士は世の中になくてもいい職業のひとつ。見る人に楽しさを与えなくては存在理由を失う」と語った。ソフトの新手が定跡となる時代。棋士たちはどんな物語を紡いでくれるだろうか。

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