2017年12月16日(土)

角界は暴力根絶へウミを出せ

社説
2017/11/17付
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 大相撲の名と歴史を汚した以上に、人として許されない。

 横綱、日馬富士が同じモンゴル出身の幕内、貴ノ岩を酒席で何度も殴り、けがを負わせていたことがわかった。

 相撲界では、2007年に親方らが力士に暴行し死亡させたとして有罪判決を受けた。10年には当時の横綱、朝青龍が一般人を殴り、引退に追い込まれている。相次ぐ事件に日本相撲協会は再発防止を誓い、力士らへの指導や啓発を重ねてきた経緯がある。

 それにもかかわらず、再び最高位の力士の暴力が明るみに出た。相撲界はもはや自浄能力を失っていると断ぜざるを得ない。

 協会内の危機管理委員会が調査を進めているが、第三者の目や力を借り、暴力を容認するような風土を根本から改めない限り、大相撲に未来はない。日馬富士への処分も厳しくのぞまねば、ファンの理解は得られまい。

 すでに貴ノ岩の師匠の貴乃花親方により、警察に被害届が出されているという。真相解明は司直の手に委ねられる。酒席の同席者を含め、真摯な態度で捜査に協力すべきである。

 今回の暴行自体は10月下旬にあったと報じられている。しかし、公になったのは約20日も後だ。協会は今月初めには一定の事情を把握したようだが、いち早く公表や調査に踏み切らなかったことは、身内をかばったとも取られかねない。猛省を促したい。

 大相撲では10~11年にかけ、力士らの野球賭博や八百長問題も発覚、信頼は地に落ちた。NHKが名古屋場所の生中継をやめたり、大阪での春場所が中止になったりしたのは記憶に新しい。

 それ以降、「土俵の充実」を合い言葉に力士や親方が地道な信頼回復を進め、ようやく人気が盛り返してきたところである。その芽を育てるためにも、事件の徹底究明と仕切り直しは欠かせない。

 相撲協会は公益財団法人だ。伝統ある競技を担う公器として、社会が納得する対応を求めたい。

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