2019年9月16日(月)

指導者が企業文化つくる
SmartTimes (スティーブン・ブライスタイン氏)

2017/11/20 6:30
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神戸製鋼所が品質データを改ざんしていたことが注目を集めている。日産自動車SUBARUが完成車の検査を無資格者に行わせていたことも発覚した。

米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。

米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。

こうした出来事が相次いだことで、日本の企業文化を問題視する人がいる。私はその見方はあたっているとは思わない。共通の日本企業文化など存在しないからだ。企業文化は、善きにつけあしきにつけ、指導者がつくるものである。

あるエンジニアリング会社では、重大な事故が多発していた。管理職が業績を上げるため、安全手順を無視するように部下に圧力をかけていたことが原因だった。この事実を提示された経営トップの反応は「こうした不正は日本では当たり前で、利益を出すには必要」というものだった。

しかし、競合のエンジニアリング会社は安全手順を守りながら利益をあげていた。私の経験では、どこの国でも、不正の真の理由がその国特有の文化であったことはない。

監督官庁による規制を厳しくしたとしても、不正問題の解決策とはならない。米国やドイツは厳しい規制をしいていた。それでも米銀大手のウェルズ・ファーゴでは、営業成績を上げるため、職員が顧客に無断で預金やクレジットカードの口座を開いていた。独フォルクスワーゲンは排ガスの数値を不正に示していた。

不正問題を解決できるのは指導者の優れた人格だ。ここでいう人格とは、自分に不利な結果になったとしても、信念を貫く意志を指す。その好例がオリンパスのマイケル・ウッドフォード元社長だ。彼は自分に火の粉が降りかかると知っていながら、不正を発見するとそれを公にした。

優れた指導者は次世代指導者を育成していくための2つの点を自社の文化に採り入れている。1つは失敗を学習の機会としてとらえることだ。よいアイデアであれば失敗したものでも評価する。失敗は成功へのプロセスにおいて起こるべきものと考える。指導者のこうした姿勢が社内に浸透すれば、次の指導者にもこの姿勢が引き継がれる。

もう1つは不正は絶対に許さないことだ。営業担当者が自分の懐を温めるために、経費を水増しして請求したとする。優れた指導者は、その担当者がどんなに成績がよくても解雇する。

人格の劣った指導者は解雇をちゅうちょし、不正を見逃す。その結果「業績さえ出していればこの会社では不正行為をしても大丈夫」という考えを社員たちに植え付けてしまうのだ。

神戸製鋼所では、データ改ざんが10年以上も行われていた。川崎博也会長兼社長の耳に届いていたことも考えられる。同社は不正に加担していた経営幹部や管理職をすべて解雇する必要がある。そのうえで新しい指導者が優れた人格を育む企業文化をつくりあげる。これができないなら、同社に明るい未来は訪れない。

[日経産業新聞2017年11月17日付]

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