2019年2月18日(月)

小児科医の遠隔相談、企業を開拓 キッズパブリック
戦略ネットBiz

2017/11/18 6:30
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小児科専門の遠隔医療相談サービスをするキッズパブリック(東京・千代田)が企業向けサービスに力を注いでいる。スマートフォン(スマホ)を通じて小児科医が子どもの健康の相談に乗るサービスで、社員の子育て支援のために福利厚生制度の一環などで採用されている。健康経営や女性活用の機運を追い風に利用者を増やし始めた。

キッズパブリックの「小児科オンライン」(写真左)はスマホのビデオ通話を通じて、子どもの病状を相談できる(同右)

キッズパブリックの「小児科オンライン」(写真左)はスマホのビデオ通話を通じて、子どもの病状を相談できる(同右)

同社のサービス「小児科オンライン」は、小児科医に子どもの病状について相談できるサービスだ。ビデオ通話ソフト「スカイプ」や無料対話アプリ「LINE(ライン)」を使う。診療そのものではなく、「発疹が出てきたが、夜間の救急外来に行く必要があるか」といった相談が中心だ。

運営時間は平日の午後6時から10時までで、予約後に1回10分間医師と会話ができる。現在、相談に乗る小児科医は34人いる。「授乳中にこの薬を飲んでも大丈夫か」「他の子と比べて単語を話すのが遅い」といった相談にも答えている。

サービスは個人向けに月額3980円(税別)で展開している。利用者を獲得し始めたが、子どもの診療に関しては自治体から補助を受けられるケースもあるなど「無料の診療に慣れている人も少なくない」と、自らも小児科医である橋本直也社長は話す。

そこで健康経営や女性活用に力を入れる企業に目を付け、法人契約サービスを始めた。「働く女性が増えるなか、仕事と子育ての両立を支援するために福利厚生制度の一環で導入したいという企業の需要がある」と橋本氏は手応えを語る。

これまでに小田急電鉄富士通が社員支援のために採用。また東急不動産は同社が分譲したマンション購入者向けサービスとして提供している。

医師が遠隔から文字などで健康に関する相談に応じるサービスは他にもある。ただ、小児科医療の現場の問題点は「親の不安感だ」と橋本氏は指摘する。

小児医療の現場では夜間・休日に緊急性のない軽症患者があふれている。夜間に受診する子どものうち、9割は受診当日に帰宅できる状態だという調査もある。子どもの病気について、親が症状の重さを判断できないことが過剰な受診につながっている。

医師が空いた時間に文字でやり取りするだけだと、こうした不安解消には限界がある。橋本氏は「医師が画面上で一言『大丈夫ですよ』というだけでも安心が生まれる」と、自社のサービスの特徴を強調する。

専用アプリの開発は予定しておらず、汎用の消費者向けの対話アプリを駆使する。「スマホに余分なアプリをダウンロードしなくて済むほか、普段使っているアプリの方が操作に慣れ親しんでいて使いやすい」(橋本氏)からだ。

個人や企業などにサービスを広げるにあたって最近もう一つ重視しているのが、遠隔医療相談の効果を示していくことだ。そのための実証実験にも力を入れる。例えば、導入先のある健康保険組合で60人を対象に3カ月間の実証試験をした際には、医療相談を受けた同日夜間の救急外来受診者をゼロにできた。

11月からは国立成育医療研究センターの研究に参画し、横浜市栄区で出産直後の母親300人以上を対象にした臨床研究も始めた。産後のサポートに対する遠隔医療相談サービスの効果をみる。効果を検証していき、企業や自治体にさらに採用を促す。

(川上宗馬)

[日経MJ2017年11月15日付]

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