2017年11月24日(金)

安倍首相と習主席は相互訪問へ準備を

社説
2017/11/14付
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 安倍晋三首相はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議のため訪れたベトナムで中国の習近平国家主席と会談した。続くフィリピンでの東アジアサミットの際は李克強首相とも会った。北朝鮮の核・ミサイル問題が深刻ななか、日中首脳間の頻繁な意思疎通を歓迎したい。

 習主席は共産党大会で権力基盤を固め、トランプ米大統領の訪中など自らが主導する外交に力を入れている。安倍首相も衆院選の与党大勝で腰を据えて外交に取り組む環境が整った。

 2012年秋、沖縄県の尖閣諸島の国有化を契機に中国で反日デモが起き、日本企業に深刻な被害が出た。中国公船の領海侵入は今も続いている。安倍首相がこれを念頭に「東シナ海の安定なくして真の関係改善はない」と指摘したように、今後も警戒は必要だ。

 とはいえ習政権の5年間、激烈な反日デモは起きていない。習主席は歴史・台湾問題では原則的立場を表明したものの、日中関係が急激に悪化するリスクは以前より小さくなった。双方はこの機会を生かすべきだ。日中間には北朝鮮問題のほか「海空連絡メカニズム」の早期運用開始など緊密に意思疎通すべき課題が山積している。

 世界2、3位の経済大国である両国の経済関係は強まっている。安倍首相は先に中国が主導する新シルクロード経済圏構想(一帯一路)に協力する用意があると表明した。習主席との会談では第三国で日中が協力してビジネスを展開するよう提案した。

 日本としては、トランプ米大統領がアジア歴訪で表明した「自由で開かれたインド太平洋」という理念を共有しつつ、中国との経済を中心とした連携も探るべきだ。それは日中双方の利益になる。

 中国国家主席の訪日は08年の当時の胡錦濤国家主席以来、途絶えている。来年は1978年の日中平和友好条約の締結から40周年に当たる。首脳相互訪問の復活にはまたとないチャンスだ。まず序列2位の李克強首相が出席する日本での日中韓首脳会談を実現させたうえで、トップ同士の往来を探る必要がある。

 安倍首相はまず自らが適切な時期に訪中し、次に習主席も訪日する案を提起した。習主席は首脳往来を含む関係改善に前向きな姿勢を示している。今こそ日中関係の新たなスタートに向けた準備をすべき時だ。

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