2017年11月24日(金)

「加計」乗り越え特区の再起動を

社説
2017/11/12付
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 学校法人加計(かけ)学園獣医学部(愛媛県今治市)の来春の開学が決まった。文部科学相の諮問機関、大学設置・学校法人審議会が設置を認める答申を出し、林芳正文科相は近く認可する。獣医学部の新設はじつに52年ぶりだ。

 学園理事長が安倍晋三首相と親しいため、この問題は特異な経過をたどった。これを機に、既得権者と官僚組織が死守しようとする岩盤規制を打破すべく、国家戦略特区を再起動させるべきだ。首相は臆せず態勢を整えてほしい。

 特区で獣医学部新設を認める条件として内閣府は「既存大学では対応が難しい」など4項目を挙げた。設置審はこの4条件とは別に教育課程や教授陣の質・数を確認し、問題はないと結論づけた。

 文科省当局はこれまで、加計学園の計画は4条件を満たしていないと主張し、新設に後ろ向きだった。また早期開学を認めるよう官邸幹部から圧力をかけられたと前文科次官が明らかにし、国会で野党を巻きこんだ論争に発展した。

 国会審議をみる限り、理事長が開学に便宜を図るよう首相に求めた事実は確認できない。だが首相側の説明もまだ十分ではない。元秘書官は今治市の担当者と官邸で会ったか否か記憶にないと繰り返した。首相と関係官僚には特別国会で説明を尽くす責務がある。

 この問題があぶり出した行政文書の管理・保存ルールでは、役所の恣意が入る余地をなくすよう行政府にあまねく求めたい。

 獣医学部をめぐっては、法的根拠なしに新設を阻んできた文科省の行政指導にこそ問題がある。教育と研究の質を高め、食の安全や感染症対策で消費者に恩恵をゆき渡らせるには、意欲ある大学経営者に広く参入を認めるべきだ。

 同時に、水準を満たさない既存学部は撤退させるべくルールを整えるのが同省本来の役割である。

 教育分野に限らず保育、介護、法曹、雇用、医療などの官製市場には既得権者が守りたい岩盤規制がある。消費者主権を貫くために戦略特区が果たす役割は大きい。

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