2017年11月22日(水)

TPP11を礎に質高い自由貿易圏つくれ

社説
2017/11/11付
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 環太平洋経済連携協定(TPP)に参加する米国を除く11カ国による新たな協定の大筋合意の交渉が最終局面を迎えている。離脱前の米国を含む12カ国でまとめたオリジナル版の協定のうちルール分野で一部を凍結するものの、関税撤廃の約束はそのまま残す見通しだ。

 新協定は実質的に11カ国によるTPP(TPP11)だ。保護主義に傾くトランプ米大統領が離脱を決め、TPPは瓦解する懸念さえあった。11カ国の議論を主導する日本の努力を評価したい。

 世界最大の経済大国である米国のTPP離脱により、自由貿易圏としての規模は縮み、経済効果も小さくなる。それでも11カ国による協定締結の意義は大きい。

 第1に、新協定は関税の撤廃だけでなく、きわめて質の高い貿易・投資ルールを定めている。

 11カ国はオリジナル版TPPで米国が要求した項目のうち、たとえば医薬品データの保護期間などで米国がTPPに戻るまで実施を先送りする「凍結」で足並みをそろえつつある。

 一方で電子商取引で使われるデータの流通制限の禁止などは当初の内容を保つ方向だ。TPPの骨格を維持できれば、日本企業のグローバル戦略への追い風となるだろう。

 第2に、新協定が東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など他の通商交渉を刺激し、それらの貿易・投資の自由化度合いを高めていく効果が期待できる。

 第3に、米国が日米2国間の自由貿易協定(FTA)締結を求めてきても、日本は「新協定の内容より譲れない」と理不尽な要求を退ける防波堤として活用できるようになる。米政権がすぐにTPPに復帰するのは考えにくい。それでも日本を含む11カ国は粘り強く米国に復帰を働きかけてほしい。

 11カ国は9日夜の閣僚会合では大筋合意をしたものの、10日になってカナダの要請で合意を確認する首脳会合が急きょ延期になった。カナダを含め11カ国で新協定をできるだけ早く発効できるよう努力してほしい。

 11カ国による協定発効後は韓国や台湾、タイ、フィリピンといった国・地域にも門戸を広げることが課題となる。TPP11は質の高いアジア太平洋の自由貿易圏づくりにむけた大きな礎である。日本は常にこの地域の自由貿易の先導役を果たさなければならない。

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